旅好きの働く女のサングラス


サングラスは夏の季語だよー。
ちょっと遠出した先で本持ってこなくて失敗したなーってときがございますが、そんなときは、青空文庫をiPhoneで読んでます。林芙美子のはかたっぱしから読める面白さですぜ!!
http://www.aozora.gr.jp/
放浪記で一山あてた林芙美子さん、実家に200円送り(優秀なサラリーマンの月給が100円の時代)、それまでの貧乏生活が長かったせいか、それでもお金があまっちゃうあまっちゃう。金庫のフタを足でぎゅーっとやってもまだ余る。それから彼女は様々な場所へ旅にでるようになる。時を経て、押しも押されもせぬ大作家になれば各所へお招きに預かるようになる。その旅のエッセイが、時代を反映していたり、思わぬ小さきものへ目が止まっていたりして、その発見が面白い。面白いったら面白い。
1931年に、シベリヤ鉄道を使いパリへ向かう芙美子たんの珍道中を描いた「シベリヤの三等列車」は特に! 女ひとりで、ロシア語も英語もよくわからないまま、いろいろな国の人、いろいろな立場の人と関わりながら、ゆっくりとゆっくりと鉄道の旅を続ける。彼女の女性らしい細やかな(というか、みみっち・・・ゲフンゲフン)観察眼を追うのも楽しい、女一人旅エッセイ。
ロシヤは、どうして機械工業ばかり手にかけて、内輪の物資を豊かにしないのでせうか、悪く云えば、三等列車のプロレタリヤは皆、ガツガツ飢ゑてゐるやうでした。
あはは、まったくだ。
「落合町山川記」、中井のあたりに居を構えた芙美子たん。「第七官界彷徨」の尾崎翠ちゃんとルームシェアして、ときめく文学少女シェアハウス!(少女という時代ではないようでしたが) 居を構えたわりに、尾崎翠さんに留守中をまかせて、しょっちゅうあっちに行ったりこっちに行ったりする芙美子たん。海外旅行も頻繁にしていたようで、旅で稼ぎを使い果たす勢いです。なんていうの、シェアハウスで、ノマドで、芙美子たん、時代を先駆けすぎ!! 当時の落合の様子が目に浮かぶ身辺雑記です。新宿区民はぜひ!
その他宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」を読んで「イーハトーブの塩狩峠じゃないかー」と滂沱したり、「フランドン農学校の豚」を読んで「いのちの食べ方」を思い出したり、「蜘蛛となめくじと狸」で「なるほど地獄に至る競走たぁうまいこというね、って暗いわー!」と突っ込んだり大忙しです。
i文庫HD でぜひ!
http://ipn.sakura.ne.jp/ibunkohd/
旅好きの働く女といえば、長谷川町子さんもすんごい旅好きさんでしたよね。澤地久枝と向田邦子さんの旅話も「んぎゃー! 桁が違う!!」という旅費の時代。これは澤地久枝さんの「家計簿の中の昭和」あたりで読めます。ユーロが95円に張り付いてもう一週間以上経過してますが、そういう時代だからこそ、先輩の旅ガールたちの足跡をたどりつつ、旅に出るのもよいかもしれませんわね。
現在連載中の漫画で、一番マイルが溜まってそうな主人公が活躍する作品は、もちろんゴルゴ13ですが。50巻あたりのゴルゴがちょうセクシーで困る!!! ゴルゴを見て「ハァハァ」となるマダームの描写が50巻~80巻前後はしょっちゅうあるのですが、そういうマダームたちの気持ちが最近よおわかるようになりました。読み始めた数年前は「ゴルゴの拷問シーンって誰得画像なの」と思っていたのにーのにー!

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