連休に読んだ本

蟹工船・党生活者 (新潮文庫)
蟹工船・党生活者 (新潮文庫) 小林 多喜二
本を買う暇がなかったので携帯の新潮社サイトから買って読んでみた。携帯電話で本を読むという時代・・・一行が短すぎますが、まぁ読めなくもないです。画面に出るのは、文庫本の3~5行といったところでしょうか。まとまった分量で目に入ってこないので少々物足りないですが、まぁほんと、読めなくもない。
1930年に世に出た蟹工船は現在再評価されているそうですが、ふうむ、なるほど、時代はあんまり変わっちゃいないのかもね。I氏と先日、日本がなぜ世界大戦を始めるはめになったのかという話をしたばかりだったので、当時の閉塞感が、そして今の閉塞感が、じわりと物語に寄り添う。そんで週明けの昨日、リーマン・ブラザーズ破綻ですよ、あなた! ユーロ安すっげー!!! この単行本に併録されている「党生活者」は、山本直樹に漫画化していただきたいものじゃと思いました。人に番号とかつけたりしてなっ! 怖いよぅ怖いよぅ。
レッド 1 (1) (イブニングKCDX)
レッド 1 (1) (イブニングKCDX) 山本 直樹
こころ (新潮文庫)
こころ (新潮文庫) 夏目 漱石
ついでに夏目漱石の晩年の名作「こころ」。
 名作を今読んでみたいこの年で
というわけで読んでみました。中学生や高校生の頃、夏目漱石に挑戦してみたのだけど、全然気持ちが乗らなくて、ビートルズみたいに名作だからきっと私が生きている間は新潮文庫で売り続けられるに違いないと判断し、今まで読まずにおりました。今は、すんなり入ります。全然知らない話だと思ってましたが、さすがに名作なので、「友人K」の話だと途中から気づく。あぁー。もー。人の世はちぃとも変わらないですよ!!! 
昨夜NHK教育をつけたら、昼間特急電車の中で読んだ文章が画面に現れ「あれ?」と注意してみたら、この作品を紹介している番組にたまたまぶつかった。おぅ、なんだこの同時性! しかしこの番組で、うっかり物語の結末を知ってしまたのですが、まぁそうなりますわよね。えぇ。人の営みは変わらねぇなぁ。
番組はこちら 「10min.ボックス」
そして今日のJMMから。村上編集長のお言葉。
Q:928への回答ありがとうございました。寄稿家の北野一さんが以前の回答の中で紹介されていた『暴走する資本主義』(ロバート・B・ライシュ著 雨宮寛・今井章子訳 東洋経済新報社)を、遅ればせながら読みました。この数年間に読んだ経済本の中で1,2を争う圧倒的な面白さでした。ライシュは、歴史的事実のディテールを積み上げることで自説を展開するという緻密な方法をとっています。説得力が抜群だと思いました。
 たとえば、どうやってグローバル化は始まったのか。ライシュによれば、その重要な要因の一つは鋼鉄製コンテナです。コンテナの開発・普及はベトナム戦争によって本格化します。当時の米軍は東南アジアのジャングルでの戦闘用に膨大な物資を運ぶ必要に駆られていました。従来は木箱を使っていたそうですが、小さい上に耐久性もなく、なにより積み荷の出し入れが非効率でした。アメリカ海軍はカムラン湾にコンテナ港を建設し、自国の港湾もコンテナ輸送に対応できるように改造しました。港の水深を深くし特別設計のクレーンと巨大な積み出しデッキを設置したのです。
 コンテナによる物資輸送は、結果的に、日本からアメリカへの輸出を急増させることになります。アジアから空のコンテナをアメリカに戻すより、途中日本に立ち寄って時計や家電、それに台所用品などを積み込んで帰る方が合理的だったからです。1967年には日本とアメリカを結ぶコンテナサービスは存在しませんでしたが、1年後には7社がそのビジネスに参入しました。コンテナ貿易はそうやって開始され、05年には3500隻の貨物船が太平洋を行き来し1500万個のコンテナが運ばれました。グローバル化はイデオロギーによって引き起こされたわけではなく、冷戦時に開発された輸送・通信技術の数々が、地球上を行き来する人と金とモノのコストを劇的に引き下げたことで起こったのだと、よくわかりました。

暴走する資本主義
暴走する資本主義 雨宮 寛,今井 章子

2 COMMENTS

clove

ワタクシ文学部のくせに食わず嫌いで漱石ほとんど読んでおりませんでした。
(坊ちゃん、猫、夢十夜ぐらいで。)
数年前に榎本ナリコ氏が現代版漫画化した「こころ」があまりに素晴らしかったので、久々に原作を読みましたら、やっぱり名作は凄いのだと思い知らされました。
テーマや人間関係の普遍性ももちろんですが、一文の持っている言葉の力が桁外れです。
「記憶してください、私はこんな風に生きてきたのです。」てな倒置法なんて、ほとんど反則です。
榎本氏の漫画の方も現代への翻訳具合が絶妙ですので、お気が向かれましたらどうぞ~。

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スガ

私も、夏目漱石を今回きちんと読んで「明治の日本語って、こんなにも現代なんだ!」と驚きました。抜書きしたい美しいフレーズ、真実を簡潔に伝える言葉、いろいろありまして、百年残るものはやっぱり違うな、と思いました。榎本氏のも機会があればぜひ。

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