先日のブログに書いた「書きあぐねている人のための小説入門」の著者・保坂 和志さんの「猫に時間の流れる」を読む。一言一言丁寧に、誤解のないよう、間違いのおきないよう、丁寧に訥々と穏やかで落ち着いたいい声(いい声、これ大事)で、話してもらっているような小説。読み返してみると、読み落とした一行一行が結構あり、それもまた、好きな男の人と静かにお茶飲んでいるとき、聞き逃したせりふがあるような感じで心地よい。しかし眠たい。眠たいけれど、久しぶりに「小説らしい小説」を読んだような気になりました。
解説は大島弓子さんの短い漫画で、「グーグーだって猫である」の4巻頃の絵柄。なんだか得した気分でした。
表紙の香箱モードの猫さんは、作者の飼い猫「チャーちゃん」だそうです。これは文庫版にあたって表紙を差し替えたそうで、単行本の表紙はまた別のものだったそうです。あとがきがまた泣かせる。