INとOUTの狭間で 映画「クライマーズハイ」


※適当な壁紙がなかったのでこちらから拝借しました。
 http://trendy.nikkeibp.co.jp/lc/movie/080703_climbershigh/
クライマーズ・ハイ」を目黒シネマで。
日航機墜落の事故にたちあってしまった地元紙の編集部の熱き1週間を描いた映画。新聞社のワンフロアを埋めるすべての役柄の人に、細かい人物設定がされており、スクリーンの中はまるで本当に新聞社の編集室のよう。1985年の熱き働く男たちと女たちの物語・・・・
で、ですね、この映画、「あれっ?」って人が結構たくさん出てるんですよ。主演は、薄皮一枚の皮膚の濃さが無駄にエロい堤真一、対立する部長は地方都市小金持ちっぷりを遺憾なく発揮する銀縁エロめがね・遠藤憲一、1980年代初頭に世に出たパイポをかじったまま仕事をする普通の才能の新聞記者役は田口トモロヲ、事故の翌日現場の山をワイシャツとスラックス姿でよじのぼった記者は堺雅人、一緒に山に登りそのショックを背負いきれなかった記者兼カメラマン役は滝藤憲一、堤真一の同期のライバル・インテリ黒縁眼鏡の堀部圭亮、販売局局長は港カヲルちゃんこと皆川猿時・・・・私にとってはすっごい豪華キャストなんですけど・・・。その他大勢キャストのところに、昔一緒に飲んでた人の名前が出ててすごくおのろいた。あんな人数のところからよく目がキャッチしたもんだ。
演じる俳優さんたちのほとんどは、物心ついてからこの事故のことを記憶にとどめているから、1985年のあのにおい、昭和60年のあの感じをなんとか再現しようという努力が感じられる。角ばった白い車、丸首のランニングの上に着る半そでのワイシャツ、緑や青の羽根が動くがっちりしたつくりの扇風機、コピー機の脇に貼ってある「用紙は各自で補充してください」という貼り紙の手書きの字面までが1985年のもので(わかるかなー? 丸文字出現以前に流行った書き文字)、この徹底した作りこみに感心する。
しかしですね、出演者のネクタイがオシャレすぎる、男性の髪型もおしゃれすぎる、もっと野暮ったいねずみ色のスラックスという名のズボンを履いていたはず、厚みのあるワンレンにダンガリーのシャツをジーンズの中にINにしている報道男子がいる傍ら、ポロシャツの裾をOUTに出している堤真一が!!!(あれ? この頃ってもうシャツの裾は外に出してた? ユニコーンは『大迷惑』のときまだシャツを入れてたよ?)、女性の装いが1970年代の香りがする、もうちょっと眉毛は濃くもっさりしていたはず、まぁここらへんは厳密に1985年を再現しても、見るほうが困っちゃうからこれでいいのか。
この年に何が起きたかというと
・東京両国に新両国国技館完成
・日本電信電話公社がNTTに
・日本たばこ産業(JT)も発足
・ハレー彗星が76年ぶりに接近
・ヒット曲はチェッカーズの『ジュリアに傷心』、中森明菜の『ミ・アモーレ』『飾りじゃないのよ涙は』、小林明子の『恋におちて
・そしてこの年、夏目雅子とたこ八郎が死んだ
そんな年だったんですよー。
映画そのものはちょっとみなさん、演出過剰というかしょっちゅうプンスカ怒りすぎだったんですけど、それも「クライマーズハイ」な状態でいるのならばむべなるかなといえるもので、こんな熱く働く男は2000年代にはもういないんじゃないかと。私としてはスクリーンで見ることができてよかった。2時間20分、観客も集中しっぱなしの大変密度の濃い時間でした。クライミングの景色がもう、足の裏かゆくなってかゆくなって・・・! 目黒シネマのこぢんまりしたサイズのスクリーンもちょうど良かったです。
さて、来週の目黒シネマは『ダークナイト』を。おさらいに行くかのぅ。
あと髪切ってきたー。

3 COMMENTS

よっしぃ

数年前にNHKでドラマ化された「クライマーズハイ」をみました。
ただ今、原作を読んでいますが、かなり濃厚なので少しづつしか読み進められません。
まさに舞台となった上毛新聞(群馬県のローカル紙)の記事をリアルタイムで読んでいたので感慨深いです。
映画も観に行こうと思いつつタイミングを逃していたのでチェックしようと思います。
(出演陣豪華ですよね…)

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みね

私も地元群馬に住むものとして、記憶に刻まれてます、高1の夏ですわー。
近所にヘリポートがあり、東京から来るマスコミ各社のヘリの中継地点だったようで、これでもかというくらい、連日ヘリが爆音上げながら頭上を通りすぎて行きました。
現場に借り出されたお医者さん(友達のお父さん)の話とかがリアルだったのが印象的です。
映画みたいなあ。

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スガ

私は、山崎豊子の「沈まぬ太陽」を読んでいたので、みねさんのいう「お医者さんの話」がなんとなく理解できます。当時の現場での医療関係の方たちのご苦労には頭が下がります。
出演陣、本当に豪華なんですよー。編集室の隅々にいる人たちまで細かく丁寧に人物設定してあって、そこらへんもしっかりチェックしたくて十年ぶりにパンフレットまで買っちゃいました。時代考証も丁寧にやっていたと思います。田口トモロヲがくわえてる黄色いパイポの懐かしさったら!
素晴らしい風景の登山シーンもあるので、できましたらスクリーンでぜひ! 目黒シネマは今日までです。でももうDVDが出てるんですよね。

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