東南に尊敬してる国のあり/サイゴンの一番長い日

サイゴンのいちばん長い日 (文春文庫 (269‐3))

月刊コミックIKKIで西島大介さんが「ディエンビエンフー」という漫画を描いてまして、先日その試し読み作品が大量に掲載されました。「ディエンビエンフー」のあらすじはIKKI公式サイトから。
1965年――南北に分かれて対立するベトナム、戦時下。アメリカは南ベトナムを支援し介入、軍事援助をしていた。陸軍機関紙の派遣カメラマンとして南ベトナムの首都・サイゴン入りしヒカルを向かえたのは、麻薬・暴力・セックスなんでもありの現実。上官の犯罪を目撃し殺されそうになったところ、謎の戦闘美少女が出現。上官達は惨殺され九死に一生を得た上、彼女に恋してしまったヒカルだが…? 異端児にして本格派・西島大介が挑む地獄の超絶ラブストーリー!
で、つらつら読み返してみて、フランスとアメリカとの戦いに勝ち抜いたベトナムの人達ってすごい人達なんじゃないの、と思い至るようになり、なにかそこらへんを描いた物語はないのかしらんとAmazon を探してみたら出会ったのがこちらのご本です。

あらすじはAmazon から。
1975年3月23日、サイゴン(現・ホーチミン)の空港に降り立った新聞記者が同5月24日、サイゴンを去るまでの2ヶ月間に体験したのは……窓を揺るがす爆発音、着弾と同時に盛り上がる巨大な炎の入道雲、必死の形相で脱出ヘリに殺到する群衆、そして戦車を先頭に波のように進攻してくる北・革命政府軍兵士……。4月30日サイゴン陥落前後の大混乱を、ベトナム人の妻をもち、民衆と生活を共にした新聞記者が、自らの目と耳と肌で克明に記録した極上のルポルタージュ。

この物語はサイゴン陥落を描いた話なので、ベトナムの平和を求める長い戦いの終盤のほうのお話。1800kmの長さに連なるこの国の南と北はメンタリティだけでなく経済事情に関してもこれほどまでに違うのかとちょっと驚きながら読む。新聞記者である筆者はこのとき35歳、作家さん自身の若さみなぎる文体の影響か、日本も若かった時代なのかしら、と思いながら読み進めました。あ、なんとなく映画「ARGO」の映像がチラチラしました。また、ゴルゴがスパイ大作戦的な活躍をしていた時代なのよね。それでも、このときからすでに「海外が近い人は近いし、遠い人は遠かった」のよねー。お話はとても読みやすく、彼の作品を全部読んでみたくなりました。ベトナム通史みたいなのも読んでみたいんですけどねぇ。

作家の近藤紘一さんは昭和61年、45歳の若さで胃がんで亡くなってしまいます。Wikipedia にはこんな情報も。
ベトナムから妻を連れて帰国した後に、南ベトナム大使館の職員の世話で港区麻布台に住まいを構える。その後、家賃の支払いが大変だったそうで、結局、渋谷に引っ越すことになった。タイから帰国後は麻布十番の二の橋近くのマンションに住んでいた。
なにっ!時空を超えたご近所さんだったのか!! 二の橋からイタリア大使館に進んだあたりの秀和とかかなー。

とかいってたら、Toggetter でこんな小話を目にした。
http://togetter.com/li/607637
「フランス人はバカだから簡単な罠で死ぬけど、アメリカ人は多少頭がいいから一工夫しないと死なない」って笑顔で解説してくれるベトナム人、貴重だと思う
うん、フランスとアメリカに勝った国だもの。一筋縄じゃぁいかないわよね。

ディエンビエンフー 1 (IKKI COMICS)

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