「身体のいいなり」内澤旬子

内澤 旬子
朝日新聞出版

¥ 1,365

(2010-12-17)

 
AmazonのBook データベースから。
腰痛、アトピー性皮膚炎、ナゾの微熱、冷え性、むくみ…著者がずっと付きあってきた「病気といえない病気」の数々。ところが、癒治療の副作用を和らげるために始めたヨガがきっかけで、すっかり体質が変化し、嗜好まで変わってしまった。不思議に仕事も舞い込むようになり、いまさらながら化粧の楽しさに目覚めてしまう。そして乳腺全摘出を決断。乳房再建手術の過程で日頃考えたこともなかった自分の「女性性」に向き合わざるを得なくなり―。ベストセラー『世界屠畜紀行』の著者が、オンナのカラダとココロの不条理を綴った新境地エッセイ。
ブックデザインはカサイさん。カサイさんの装丁なのですよ~!
こちらは年齢もぐっと私に近く、フリーランスで長く働いてきたという境遇も同じで、ぐぐっと身につまされながら読み終えました。大野更紗さんの若き闘病っぷりとはまた一味ちがう年齢相応の落ち着いた闘病さ加減がまた、ぐぐっと。いやまぁ病気の種類がちがうのでそりゃーいろいろが違うのは当たり前なのですが。
でもね、「家賃は折半、あとは独立採算制」の「配偶者さん」が、一回目の乳がん手術後、病院までむかえにきてくれた、それはありがたいんだが、「お金だいじょうぶ?いくらかかったの?」とヒトコトも聞いてこないあたりで、私も一緒に「ひのーい!だんなひどーい!」とシュプレヒコール。いや、夫婦だけの関係だから、そこはほれ、それぞれなのやもしれませんが。もっと旦那さんに甘えてもいいのでは・・・とちょっと思ったりもしたんだけど・・・、どうなのかちら・・・。いや、旦那が甘やかすべきではないか、とか。
闘病本を二冊読んで思ったのが、「医者の常識」と「患者の常識」が見事に乖離していてすごい。患者の治療と病院経営をしなければならない激務のお医者さんが世事に疎いのは致し方ないとしても、だ。「困ってる人」では医者の社会常識がちょっとずれているのにげんなりし、「身体のいいなり」ではプロとして仕事を納品する立場の医者の常識がずれいてるのに憤慨する(納品するのは、乳房再建するためのシリコンなんだけど)。これって私の身の上にも起きる話だろうから、ちょっとシミュレーションしておかないといけないわね。
一回の手術をするごとに、エッセイの最後に、レジの音がチーンとなるように「今回の手術、二十二万三千円」といった明細が出るのもありがたい。彼女が入ってる保険は、多分、文美団体か国保だろうから、これくらい用意しておけばよいのね、とかね。島田紳助だか誰かが「一千万出して助からん病気は助からんのや」と言ってたけれど、すぐ動かせる現金はそれくらいあればいいのかちらね。ね。
「わっ、私、身につまされるかも!」という方はぜひ。
といったところで、これですよ、「細胞を無駄働きさせない」理論の南雲吉則先生のごぼう茶ライフを! この本を五十代の男性に見せたら「なにそれキモい」とばっさり。「キモい」ってさらっというおっさんのほうがキモいわー! 美魔女とかよりは自然でいいと思うんだけどなー。

2 COMMENTS

hyt

昨年、いろいろあって病院とお付き合いしてましたが、高額療養費支給申請を知らないと負担がすごい!というのを勉強しました。
でも実際は時間差で(申請後に)支給されるので、ある程度まとまった金額が動かせないと厳しいですね。。
http://ja.m.wikipedia.org/wiki/高額療養費

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スガ

そうみたいですね。大野さんのほうにはそのことが詳しく書かれていました。備えておかないとですね。

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