「大鹿村騒動記」


監督阪本順治、原田芳雄、大楠道代、岸部一徳、佐藤浩市、松たか子、冨浦智嗣(多部未華子「つばさ」の弟君役演じてた声の高い子)、瑛太、石橋蓮司、小倉一郎、でんでん、加藤虎ノ介(四草さん)、三國連太郎・・・という豪華キャストの割に地味な題材のためかそんなに動員が見込めそうもなかった本作品、原田芳雄さんが本作品の公開直後に亡くなってしまったため、そこからは動員数を伸ばし、上映館も増えるとのこと。寂しく切ない話だけど、この作品を見る人がひとりでも増えればよいことか、とも思う。観客動員数ランキングを見てみれば、首位がハリポタ、ポケモン、コクリコ坂、4位は忍たま乱太郎だもの、夏休みということを考えれば善戦しているのかも。
映画のキャッチコピーは「忘れられないけど思い出したくもない女が帰ってきた」。主人公は原田芳雄、18年前、奥さん(大楠道代)が幼なじみの岸部一徳と逃げちゃってからは、男やもめながら鹿肉料理屋をほそぼそと経営。彼は、江戸時代から村に伝わる村歌舞伎の役者でもあるが、定期公演を間近に控えた日、佐藤浩市が運転する村のバスに乗って、岸部一徳と大楠道代が帰ってくる。大楠道代は記憶障害が悪化し、岸部一徳の手に余る状態に。「ごめん、返す」と元妻を手渡され、そこで「忘れられないけど思い出したくもない女が帰ってきた」となるわけです。
で、まぁいろいろあって、定期公演の日を迎え、「六千両後日文章 重忠館の段」という演目を演じる。これは大鹿歌舞伎のみに残る外題だそうで、原田芳雄は、敗者(平家)のヒーローである悪七兵衛景清を演じ、「仇も恨みも、是まで、是まで」というセリフを決めます。これはそのまま、戻ってきた妻と自分の関係をさくっと救ってもいます。
「仇も恨みも、是まで、是まで」は、映画のパンフレットの背表紙にも使われています。人生って、仇も恨みも喜びも悲しみも幾歳月、いろいろな感情がごちゃごちゃ続くものだけど、終幕となれば「是まで是まで」と潔くいえるかしら。原田芳雄さんはそんなつもりはなかったと思うけれど、これが彼の遺言のようににも私には聞こえるのよさ。
93分、1000円で見られる映画です。ふらっと時間ができたらぜひ。おばあちゃんの田舎ってこんな感じだっけー、って味わいながらどうぞ。あ、ロケは昨年11月に行われたそうなので、夏休み向きの風景は見られませんが、紅葉がたっぷりとご覧いただけます。

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