生きすだま飛ぶ闇の夕顔


今から8年ほど前、千駄ヶ谷の能楽堂で生まれて初めて見たお能は、照明も暗くて、うとうとしまくってて、おぅーさすが日本の伝統芸能ですねぇ!幽玄ですねぇ、って感じだったのですが、この初夏にみた「望月」は、大変ロックな地謡がイカしてて、あたいのフレディ・マーキュリーが袴はいてシャウトしてるー! 目が離せませんでした。
その前後に、「望月」を誘ってくれたW嬢から「能の世界にもっと引き摺りこませていただきたく」と、成田美名子さんの「花よりも花の如く」1巻と2巻を貸してもらった。「花とゆめ、まだあるんだ・・」などと大変失礼な感想を抱きつつ、しばらくの間積ん読、そして先週、葵上を見に行ったあと、「ふーん、能も面白いんじゃなくって、バッバカバカッ!あんたのために読むんじゃないんだからねっ!」と誰も見てないところで一人芝居してから読んでみた。そしたら「花よりも・・・」の第一話が扱っている作品がその「葵上」で、おぅー。こういうことだったのかと、一気に絵解きされた気分を味わい、その後漫画購入行脚の旅を。さきほど既刊9巻までイッキに読み通し、ふぅ、おなかいっぱい☆ 成田美名子さんの絵はほんっとうに華やかで緻密で、丁寧な作品づくりをたっぷりと堪能する。まだまだ読んでない「花とゆめ」の名作があるのよねー、読むぞ、老後にでも読んでやる!!
さて、今日の源氏物語の時間です。今日は「夕顔」の段でございます。
空蝉と軒端の荻との一件から数日後、宿直にあたっていた源氏の君と頭の中将、そこに藤式部の丞がやってきて、またもやナオンの話を。「おれたちセレブwにふさわしい女なんているのかよー」「いやいや、こういう上流階級同士だといろいろ気をつかうけど、山奥のきったねー家とか、ろくでもないオヤジや男兄弟がいる家にかぎって、すっげー美人で頭のいい女がいるんじゃね?」「やっぱりねらいどころは中流階級だよなー。財閥系企業の父親をもつコとかがちょうどいい感じ。なにしろ身の程わきまえてくれるし、」「そうそう、俺もこんなことがあってさ」と藤式部の丞の話がはじまる。
「すっげーブスだったんだけど、俺に嫌われたくない一心で、化粧したりさー、俺が友達連れて帰ったときなんて、『私が不細工なばっかりに、旦那様の株を落とすわけにはいかないわ』ってすぐ奥にひっこんだりしていじらしいのよー。だけどすっげーヤキモチ焼きで超困った。なにかっていうと、きええええー、よその女ねっって言い合いになったり、つかみ合いになったり。ちょっとうぜえなぁ、って思ってたんだけど、ある冬の晩さ、仕事が終わって家に帰ろうってときに、すっげー寒い夜よ、マジさみいの、みぞれとか降ってて。そういうとき、一人暮らしの家に帰ってもわびしいなー、他の同僚たちはみんな帰る家があるってのに、なんだろう、この孤独は・・・。『おかえりなさいませ』って三つ指ついてあたたかくてうまい食いもん出してくれる女といったら、あいつしかいねぇなーって思って、そっちに足が向いちゃったの! そんでいそいそと行ってみたら、あのブス家にいなくて、父親しか待ってなかった。『今後、二度と浮気しないって約束してくれたら帰ってもいい』とか身の程知らずなメールよこしやがったんで、俺も売り言葉に買い言葉で『わかりましたよ、二度と行くもんか』とかなんとかやってるうちに、その女、心労で死んじゃってねー。なんかかわいそうなことしたなーって、あんなまめに働いてくれたのになんかもったいないことしたなー、って」
てなやりとりがあったあと、夕顔という町の女の子と知り合った源氏、エッチな用途にしか使われることのないお屋敷に連れ込んでみたものの、前からつきあってた愛人・六条御息所の生霊にとりつかれて、夕顔は急死してしまいました。あわれなことでございました。
はい、シモムラさん、スリッパだよ!

7 COMMENTS

シモムラ

スリッパに吹き出しました。
雨夜の品定めでの男性陣の会話といい、生霊になる六条御息所の執念といい、「夕顔」は面白いですね。
それにしても源氏は‥。スリッパの次はダーツで!

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ふなき

我々女性人で周りを取り囲み、ヤイヤイ攻め立てるのはいかがでしょう?
「アンタって最低!」「何様?」「女には何でもして良いっておもってるでしょ!」「ばーか、ばーか」「このマザコン!!」「ロリコンでもあるがなっ!」等等。泣き出すまで攻めてやりましょう!!

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スガ

ほんっとーに!!!貴様らなにさま―!!!
源氏物語をさくさく読みたいのですが、「ふんぬー!!これは怒りが新鮮なうちにブログに書き起こさねばー!!」などとやっているため、遅々として進みません。いやいや、憤怒とかやってる場合じゃないんですけど。

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いしの

橋本治版しか読んだことないです。邪道だな…
源氏物語占いって昔仲間内で流行りました。何度やっても六条御息所…怖くて嫌でしたよ、ええ!

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ライブラ

「花よりも花の如く」の掲載誌は「花とゆめ」ではなくて、「MELODY」です。「MELODY」には、「大奥」をはじめ、「まほろ駅前多田便利軒」など、面白い漫画が多いですよ。ちなみに「パタリロ」もいまは、こちらで連載しています。

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スガ

いしのさん、私も「あさきゆめみし」の六条さんがバラを食べるシーンが怖くて怖くて。でもうちの猫は、トルコキキョウをよく食べるので、それに似ているのかもしれません。
ライブラさん、ほんとうだ、「花とゆめコミックス」と書いてあったけれど、連載は「メロディ」なんですね!「まほろ駅・・」は漫画化もされたのですね、映画はみました。瑛太くんが「なんじゃぁこらぁぁ」と松田龍平の前で叫ぶシーンが面白かったです。

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