ツール・ド・フランス第20ステージ/角幡唯介「雪男は向こうからやって来た」/小野田寛郎をみつけた鈴木紀夫氏の生涯

雪男は向こうからやって来た (集英社文庫)

雪男は向こうからやって来た

書籍紹介文はAmazonから。
ヒマラヤ山中に棲むという謎の雪男、その捜索に情熱を燃やす人たちがいる。
新聞記者の著者は、退社を機に雪男捜索隊への参加を誘われ、二〇〇八年夏に現地へと向かった。謎の二足歩行動物を遠望したという隊員の話や、かつて撮影された雪男の足跡は何を意味するのか。初めは半信半疑だった著者も次第にその存在に魅了されていく。果たして本当に雪男はいるのか。第31回新田次郎文学賞受賞作。

「朝日新聞やめて、今度(こちらから望んでいるわけでもないのにいろんな事情が向こうからやってきて)ネパールに雪男探しに行くんです(ほら、そういう冷笑気味の顔をする。俺が自分で行くんじゃないんですよ! いろいろな事情が向こうからやってきただけなんすよ!)」と雪男探しの旅に駆り出されることになった角幡唯介氏。

過去の雪男の目撃者にはいろいろな人物の名前が連なっている。

「ふーん、フィリピンで小野田寛郎さんを見つけた鈴木紀夫、え、鈴木紀夫、あの鈴木紀夫かぁ。え、吉野満彦さんも? 日本人初のマッターホルン北壁を登ったあの吉野さんが? あれあれ、田部井淳子さんも? あの田部井淳子さんが?」

ちょっと胡散臭い(と角幡氏が思っている)探検家から世界的なクライマーまでが雪男を見たという。今回の捜索隊も、雪男の姿らしきもの・足跡らしきものを見てしまったばかりに、人生を狂わされてしまった男たちで編成されている。角幡氏は半信半疑の度を深めながら、捜索隊を乗せた飛行機はカトマンズへ旅立ったのでした。

 

第八章は「冒険家鈴木紀夫だけが知っている雪男」として、鈴木紀夫の後半生を追ったような内容になっています。鈴木紀夫氏はネパールでうっかり雪男らしきものを見つけてしまったために、合計6回現地に足を運ぶことになります。登山知識も訓練も積んでいない彼はキャンプの設営ポイントを間違え雪崩に巻き込まれそうになったりします。何度かのネパール行きのあと一旦は雪男から遠ざかりますが、最後に「やはり諦めきれない」と六度目のネパール行きに挑戦します。このときは資金捻出のため、TBSから援助を受けたりします、「冒険家が!TBSから!お金をもらったら!死亡フラグ!」とつぶやきながら読み進めます。そして雪崩に巻き込まれて死んでしまうのです。

なんであんなに雪崩を怖がっていたのに、結局雪崩で死ぬのかと疑問に思っていた角幡氏、最後のエピローグでその謎が解き明かしてくれます。読者のわたしも救われました。

鈴木紀夫についてはこの本を読むとよいのでしょう、探してみましょう。

ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス第20ステージ個人タイムトライアルを見ながら読み進めた。翌日はパリで最終ステージが行われ長いツールの旅も終わる。そんな前日に行われた個人TT。

ステージの序盤、解説者が「現在イエロージャージ(総合個人時間賞)のチームユンボのログリッチ(スロベニア)がいるけど、本当に強いのはログリッチを支えたチームメイトのファンアールト(ベルギー)じゃないかと思ってる。今日の個人TTで案外順位が変わるかもよ」と言っていたので、勝負の行く末を見守ることにした。確かにファン・アールトは強かった。彼が走った前の選手たちを1分半引き離してゴールした。これで総合順位争いに変化が出るのかと思っていたが、その後、UAEチームエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)が勝負をすべてひっくり返した。圧倒的なスピードで、ログリッチを引き離し、イエロージャージを手に入れた。

ダディ・ポガチャル、21歳、グランツール初出場は昨年のベルタエスパーニャ(ステージ優勝1回)。初出場のツール・ド・フランスで黄色・水玉・新人賞のジャージ3枚奪った。

いまわたしが見ているのは、曽田正人の漫画の実写化でしょうか、テレビの実況と解説の声が秋田書店のフォントになってくる。もう一度いう、なんだこれは漫画か、藤井聡太物語か。レースを見ていて、棋士の高野秀行六段が藤井四段について「性能の良いマシンが参戦すると聞き、フェラーリやベンツを想像していたら、ジェット機が来たという感じ」と評した逸話を思い出した。なんだかもう別次元すぎるではないですか。若干21歳の若者が、新人賞ジャージだけじゃなく、黄色と水玉持ってスロベニアに帰ることになった、なんだこれはおおごとすぎるじゃないですか!

ログリッチやポガチャルは「ジジィどもは引っ込んでな」などという下品な罵り言葉を言いそうな顔立ちじゃないんです。なのに脚がそれを言っちゃった、なんだこれ、歴史が動いた瞬間を見てるってこのこと?

ログリッチもポガチャルもスロベニア出身、世代も近いからお国で一緒にトレーニングしたことがあるでしょう。一体スロベニアでなにが起きているのでしょう! スロベニアの自転車事情が今後各種自転車サイトで入手できるかもしれません、注意していきましょう。

鳥肌の立つ素晴らしいステージでした。明日も連休なので、今夜は表彰式をじっくり見ようと思います。

 

八重洲出版の公式ガイドすごく勉強になったし、ツール・ド・フランス公式サイトも洗練されていて多機能で素晴らしかった。さすがです!

ツール・ド・フランス2020公式プログラム (ヤエスメディアムック637)

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