福岡の産業観光行ってきた/現地集合現地解散・福岡の伝統産業を知る一泊二日の旅

行きの富士山。かこいいのぅ!

先週の話です。東京ミッドタウンの THE COVER NIPPON という日本の伝統工芸品を広く扱っているお店がございますでしょ? そちらのお店ではニッポンブランド・マイスター講座という日本のモノづくりの過去と未来を学ぶ講座をやってらっしゃいますの。そちらでこの春、福岡県バックアップのもと、福岡のモノづくりを学ぶ産業観光講座を開催されましたの。わたくしはこちらのニッポンブランド・マイスター講座にちらちらと参加しておりまして、そのお誘いで3月12日と13日、福岡に行ってまいりました。熊本はその翌日にぐいっと足を伸ばしまして。

朝9時半博多駅前集合ということで、羽田発始発の福岡空港行きの飛行機に搭乗です。手術後発の羽田空港です。前夜11時に就寝、2時に起床、仕事片して朝4時40分出発、56分にやっとタクシーが拾えて乗車時間10分足らずでしゅるっと浜松町駅着、うっかり快速のモノレールに乗れて、空港滞在時間が長くなり、ラウンジに入ってビールゴキュゴキュ、機内爆睡して博多駅目指しました。8時過ぎに博多空港到着、8時20分には博多駅に、このスムーズな移動っぷりを各都市で見習ってもらいたいものですじゃ。おなかがすいてたので焼き魚・ざる豆腐・あさり汁・ご飯・香の物の朝定食を食べ(にゃんと560円、どうかしてるぜ!)、現地で皆さんと合流、観光バスに乗っていざいざ産業観光開始でございます。

私が福岡にきたのは、前回の「村上龍の『半島を出よ』があんまり面白かったので、読み終わったその勢いでスカイマークに予約して、はったおすようにして日帰りした福岡ロケハンツアー」以来。うふふ、どうかしてるNE☆

なので、福岡のイメージといったら「イケメンとかわいこちゃんの多い、半島を出た修羅の国・長浜ラーメンとソフトバンクの王国」といったもので、彼の地の伝統工芸に思いを馳せたことなどはあまりございませんでした。そしたらですねぇー、実は福岡には、博多織、久留米絣、小石原焼、上野焼、八女福島仏壇、八女提灯、大川組子、博多曲物など多数の伝統工芸品があるのです。博多織や久留米絣なんかは着物を着る人にとっては身近ですよね、大川組子は精緻で美しく佇まいが清らかで(さらにえっというお値段で)、素朴ながら奥行きのある小石原焼は魅力的で、実は懐深いの福岡県、なんですの。で、わたくし、小石原焼の生産現場に行ってみたかったので参加してきたのですよ。

博多織の帯を織っているところ。内閣総理大臣賞を毎年輩出している福絖織物さんの工場です。

はっ、あたいの口からよだれが・・・・。

ランチを古材の森という素敵古民家でいただいた後、午後は久留米絣の里・久留米市へ。朝は冷たい雨だったのですが、久留米へ移動したら気持ちよく晴れ渡っておりました。「チェッカーズと松田聖子の産地ですよね!」と坂田織物工場の方へお尋ねしたら、「わしの姉の息子は徳永英明ですけんね」とのご返事、おじさま、そこは素直に甥っ子って言って! お願い!

ぐはぁっ、この素朴な久留米絣の佇まいにノックアウト!

織られてる、織られてる! 職工さんたちはベトナムからの留学生の方多め。そうかー日本人女子はこういうところではもう働かないのかしらん。

こちらは久留米の祭り着。すっげーかっこいい! 「これは非売品なんですぅー」とのこと。ですよねぇ。よそ者になんか売ったらいけません。天気の良さもあってか久留米は大変に晴れやかな土地として記憶に刻まれました。

坂田織物さんの物販コーナーの奥。ぎゃばーん、こんなかわゆい絣が売るほどあるー!!!!現地価格23000円(+税)から! うわぁ東京の市場末端価格が・・・あのそのあのその・・・。こちらでは久留米絣を活かした「TUGU」というブランドを立ち上げておりまして、これがなかなかに風合いのよい北欧リネンのようなかわいらしい柄のハンカチで飛ぶように売れておりました。わたくしも2枚購入しました。素晴らしい。これが正しい産業観光ツアー!

夜は温泉旅館で大宴会。この旅行の数日前に自宅でつくった鯛の窯焼きが登場。これくらい味付けを濃くしたほうがいいのか、それとも九州の味付けが全般的に濃いのか!?

翌朝はうんとこしょ・どっこいしょと憧れの小石原の土地まで。自分で福岡旅行をコーディネートした場合、おいそれと行ける土地ではない小石原、山を超えたらもう大分県という県境の土地。彼の地までは整然とした石垣で構築された棚田が続き、これはこれで素晴らしい見もの。九州の石垣愛を感じる道でございました。

小石原焼とはこのような飛び鉋の柄が特長の釉薬たっぷりの素朴な焼き物。

小石原土産。 なごむー。

@ukaukatterが投稿した写真 –

小石原とは福岡県朝倉郡東峰村の小石原地域。都会の人から見たら「わー山の中!」かも知れないですけど、私からみたら「わー、おばあちゃん家ー!」という感じで馴染み深く、山深い風景。東峰村の奥のエリアが小石原焼をやってる里。桃源郷みたいなところで、すべてのオタクに桃を植え付けることを義務化すると5年後には素晴らしい景色が出来上がると思いますよ、といった風情のところ。

 
茅葺きのお家がギャラリー兼売り場だったり。

大変熱効率のよいシステムの登り窯があったりするところです。

そこでろくろの実演を見させていただきました。うわー土って柔らかい!

「それボツだからはたいてもいいですよ」と言われ、叩いたらフニャン!

飛び鉋ってこうやって柄をつけるんですって。

動画も撮ってきました。ぜひご覧になって!

焼けばサイズが縮むといいますが、この順番でサイズが変遷いたします。

実は前日、宿泊施設で開催された大宴会で小石原焼の窯元の皆様から、私達参加者に向けて小石原焼きのお皿がプレゼントされました。私は飛び鉋の模様がくっきりと入った使いやすい栗色の「カネハ窯」さんのお皿をいただきました。小石原では訪ねたい窯元まで車で送迎していただく機会にあずかり、里から車で5分ほど離れたカネハ窯さんまで連れていってもらいました。カネハ窯さん、半農半陶をモットーにやってたら、いまはどっちかっていうと農家寄りだそうでその潔さに惚れました。そのくせ、こんなかわいいお皿つくってるんですもの! ファンになってまうがなー! 

カネハ窯さんではこういうすてきな柄のもありまして、モダンでスマート、そのくせ、手にしっとりどっしり優しい釉薬の手触り。ここに次にいつ来れるのはいつなんだろう、ていうか次にきたときはもう窯に火を入れてなくて本当に農家になっちゃってるんじゃないかしら、どうかしら、でもでもでも我が家の食器棚には限りがありましてありまして、と逡巡した後、お友達へのおみやげと我が家にはおつまみを入れるのにちょうどいい小鉢を買いました、それが上の小鉢です。カレー皿・・・あれ買えばよかったのかな・・・ぐぬぬぬぬぬ・・・

カネハ窯さんから見える風景。夏には美しい緑の田んぼが見えることでしょう。

エントランスの風情がたまりません! 小石原イチオシの窯元です、でも半農半陶なの! よい出会いがあったらみなさま買い占めるがよい!

カネハ窯の奥様(私より間違いなく若い・・・)に里まで送っていただき、途中で行者杉という巨木が残る地で捨ててもらいました。これがですね、すんごい立派な杉の木で! 絶対、夜歩いているよね、枝にガンダルフとか載せてるよね、ガンダルフがいない場合は精霊達とお話してるよね、という樹齢600年の巨木群です。幹だけ撮影するとこんな感じですが、

成人女性と一緒に撮影するとこの立派な幹っ! 見上げても見上げてもてっぺんが見えない巨木です。巨木マニアはぜひ!

名残り惜しき小石原と別れて一路琴奨菊の生まれ故郷・柳川へ。柳川自由散策の時間は、うなぎのせいろ蒸しでむっはー! 立花宗茂さんが立ち上げた柳川藩は関が原の戦いで西軍の側についたことで徳川家に「おまえ信用ならねー」と一度は他人の手に渡り、彼らは福島白河へ移封されます。しかしなんたることか、その引き継いだ御家が二代目でお家断絶しちゃったものだからすぐに呼び戻され、明治維新まで長く彼の地を預かったという土地。ゆるぎない殿様がいる土地の安定感をいまでも感じ取ることができる土地です。でもせいろ蒸しの写真しか撮ってない私のバカっ!

彼の地では雛祭の最中でさげもんを見てめぐることなどもできました。

松江みたいな美しい土地ですね。松江もいいところだよなー。

修羅の国福岡県は、実はそんなに修羅の国ってわけでもない福・多か県でございまして、あのね、博多織の着尺とかうっかり見つけちゃって、単衣で仕立てて初夏の日差しに当てたら織りの光沢だけでもご飯三杯イケそうな爽やかな織り柄で、えぇー博多織って帯だけじゃなくって着尺も有るの、勘弁してくださいよ、あらあら織元の社長さんがいらっしゃっているの、ちょいと訪ねてみようかしら、「これ、銀座で買うとしたら市場末端価格はおいくら?」とこっそりお尋ねしましたら「●●万円でございます、銀座で売るとしましたらね。でも、うちで直接買っていただけましたらうふふふ☆」とこっそりiPhone電卓の画面を見せてくださり、ぎゃーそんなお値頃情報聞かせないで聞かせないでー! あの美しさ、着尺のままで手元に置いておきたいのよね、着物なんかにせず。そんなわけで、福多かというよりも奥行きのある土地福岡県でございました。久留米の坂田織物さんは日傘なんかも造ってまして、なかなか素敵なのよ。みなさまも街の中で博多の品物を見つけたら、ウカやんがなんか騒いでたなーと思い出してくださいませ。ご当地タレント博多華丸・大吉さんたちの人柄もよいのも高得点よねー。ねー。

福岡県に泊まってなにに一番びっくりしたかって、私が関東にいるときにNHKで日曜朝7時45分から見ている「さわやか自然百景」の時間帯に「ドキュメント72時間・選『福岡・久留米 とんこつラーメン物語』」ってのが始まったことです。いつもならルリビタキの鳴き声とか鮎の一生とかニホンザルがぶるぶる震える様子を見る時間帯に「久留米 とんこつラーメン物語」ですよ!? ちなみにその時間、関東エリアでは、通常通り「さわやか自然百景」が放映され、諏訪湖にやってくる白鳥やらなにやらの水鳥の特集をしていたようです。どれだけとんこつラーメン好きなんすか、と一人部屋で浴衣から洋服に着替えながらツッコミを入れたくらい。さすがですな! 九州は豊かでいいねぇー暮らしたいくらいですよぅー。

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2 COMMENTS

tmgrf

とてもご無沙汰しつつ、ずっとこっそり熟読しております。
実はわたくし柳川藩近辺の出身です。祖母は久留米絣を「書生絣」と呼んでましたっけ…。実家を出てからの年月のほうがすっかり長くなってしまいました。旅行記拝見して、なんだかいいところだな、と思ったので(笑)コメントしちゃいました。ありがとうございます。

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ukasuga

いいところでしたよー。天気には恵まれませんでしたが、地元の方が立花藩邸を心の拠り所にしている感じがすごく伝わってきました。
予約していたレストランに、ランチタイム営業のラストオーダーギリギリに到着することになってしまい慌てて「キャンセルさせてください」と電話したら、「えっ、いま、中学校の前? だったらもうすぐちかくですからぜひいらしてください。料理のコースをここで決めていただければ大丈夫ですよ」とお店あけて待っていてくださいました。
琴奨菊の活躍を見て奮起した稀勢の里にも頑張ってもらいたい! 柳川にはよい思い出しかない状態でございます。
九州は豊かでよいですねぇー。あとハンサムが多いですねぇー。

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