秋も深まってきた頃、ムーミン谷の近くに住むヘムレンさん、フィリフヨンカ、ホムサ、ミムラ姉さん、スクルッタおじさんたち、なにか寂しかったりなにか話を聞いてもらいたくなった彼等は三々五々ムーミン谷にやってきて、ムーミンの家のドアをノックするのでした。さらに冬を前に、南を目指して旅に出たスナフキンもムーミン谷に引き返してきたのです。しかしそこにあるのは、ムーミン一家の誰もいないもぬけの殻になってしまったあの青い屋根のお家だけだったのでした・・・・
トーベ・ヤンソンの評伝を読んでから「ムーミン谷の11月って、もしかして読んだことないんだっけ?」と気が付き、この週末、Kindleで購入して読んでみた。あのスナフキンが取り乱すシーンなども描かれており、読んでいるこちらまでアワアワしてきます。この物語が発表された1971年、トーベ・ヤンソンのお母様が亡くなっており、この物語を書いた後、彼女は子供向けのムーミン童話を書くことはなくなります。
そしてこの本の表紙に選ばれた挿絵は、ムーミン家の玄関でこの家を頼ってきた人々が集い、こぬ人を待つ場面なのです。
こちらが青い鳥文庫版、フィリフヨンカたちの集落の様子を描いた挿絵です。
なんと。こうやってムーミンの物語は終わるのか、と。ムーミン・コミックスの最終話もたいそうシュールらしいですね。そんなこと言ったらサザエさんの新聞連載の最終話だって「えっ、これ?」って感じだったし。うぅーむー。春がきて夏がきて秋がきて冬がきてみんな死んじゃうんだね。