土佐藩と薩長同盟額の花/みなもと太郎「風雲児たち」

風雲児たち 1巻 (SPコミックス)

 

たまたまその日、江戸時代に伊勢からロシアに漂流した大黒屋光太夫のことをつぶやいているツイッターをみかけ、「みなもと太郎の風雲児たちに登場している大黒屋光太夫のところ、泣かずには読めない」というところに目が留まる。みなもと太郎の「風雲児たち」、気にはなっていたけどちゃんと読んだことがない、amazonで買えないかなと検索してみたら、なんとただいまkindle unlimited で解放中とのこと、まずはunlimited に再加入、早速一巻をダウンロードして読み始める。

幕末の志士たちを描いた作品ということは知っていましたが、なぜか関ヶ原の戦いから話が始まる。なんでこんな山本・石田三成・耕史のことを細かく詳しく丁寧に一巻分も割いて描くのかしらんと思っていたら、ちゃんと理由があった。克明な戦描写のあと、あの日、午後になり戦が終わり、戦い済んで日が暮れて、敗走するもの勝利に酔うものが行き交うあの関が原で、なんとなく退散していく三つの藩がある。長州と薩摩と土佐藩。そこに見開きでみなもと太郎が太ゴシック・極大文字でコマをぶち抜き以下のように記している。

 なんのために関ヶ原にきたのかまったくわからない藩が三つある。
 すなわち長州 薩摩 土佐の三国であった

エウレカ-!!!!! いえ、わたくしもですね、司馬遼太郎の歴史小説はあらかた読んでますし、なんとなくこの辺の経緯も把握しているつもりでしたが、この『まったくわからない藩』という表現にしびれた。『まったくわからない』のにうっかり『西軍』についてしまったがために、その後理不尽な思いをすることになった三つの藩。エウレカ!! 薩摩も長州も関ヶ原で負けたという共通項があったとはいえ、なんで薩長同盟なんだろー、なにがそんなにこの二藩を熱く結びつけたというのかちらという長年の疑問に対する答えがあっさりわかった、点と点が結びついた!!

江戸時代のなんとなくわかっているようでわかってなかった「なんであんな山奥の信州高遠藩がそんなに重要に扱われたのか(保科正之がいたため)」「なぜ定期的に保科正之の大河ドラマ運動が起きるのか(そういう重要な人物だったため)」「徳川御三家なのになんであんな珍妙な水戸学が生まれてしまったのか、そしてそれが長い時間を経て幕府を瓦解させていくきっかけになるのか(うっかり発言怖いね☆)」「会津藩がなぜあそこまで綾野剛的な武士のけじめある美しさで散っていく羽目になったのか」なども理解出来、「もっと人生の早い段階で読んでおけばよかったのかちら?!」と反省している次第。

マンガってすごいわね、「なんのために関ヶ原にきたのかまったくわからない藩が三つある。」の描写のぶった切り感ときたら!! 夏休みの課題図書として邁進して読んでいきたい所存です!!! 

 

風雲児たち全20巻 完結セット (SPコミックス)

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