読んだ。「日本はもう完全に追い越した、次はアメリカだぜ、ヒャッハー!!」な習近平体制の中国の今後の人口動態を解説した新書。2018年出版のご本で、「近未来の中国はこうなる」の箇所はピタリピタリとあたっていて、近藤先生すごい。
それはさておき、中国のミドルクラスの定義について「所得で分類することもできるが、パスポートを持っている人間の数で把握したらどうだろう」と近藤先生がおっしゃる。それによると、2017年の時点でパスポート所有者が一億二千万人という。いちおくにせんまん! 日本の人口とほぼ同じ! いやぁ武漢のウィルスがアレで、春節があれで、「中国人が大挙してやってくるーひぃぃー」「みんなっ、落ち着いて! 中国はビザの取得にすごく時間がかかるから、そんなすぐにパスポートとか取れないのよ! パスポート持ってるひとたちは去年のうちに取得したひとたちなのよ」というやりとりをツイッタで見た。そうかー、中国は出国するまでがそんなに大変なんだ、なるほどなるほど、と一瞬うなずきかけたけど、いや、ちょっと待ってー、そのパスポート持ってる人口が2020年には二億くらいいるってことじゃないでしょうか!? 二億! いやはやもう規模が違いすぎて!!!
去年の5月、広州に行っておいてほんとよかったと思う。市内の中心部の移動だけで1時間かかるとか(街がバカでかい)(東京並サイズの年が国内にいくつもある)、どこいっても若い人とちっちゃいお子様だらけだとか(とにかく人が多い、めっちゃくちゃ多い)、クレカ使えなくて詰んだ場面多発とか(スマホ決済の準備が必要だった)、そういうのを肌身でもって感じておいてほんとによかった。人口が13倍って凄まじい。
この本の中で「積分落戸(人にスコアをつけてそれに応じて戸籍をつける政策)」「剰男(結婚できず余っている男たち)」「小康社会(そこそこ国民みんなが豊かな状態)」「空巣青年(家でゴロゴロしながらスマホばかりいじってる青年)」「未富作老(介護保険などが整備されておらず、豊かになる前に老いてしまう)」など、いまの中国社会キーワードが紹介されています。漢字だからこそわかるその言葉が示すエグい意味。だいたい、余剰の男、ですよ?! そんなこと言われたら生きてくガッツが失われていきますが、それでも彼らはたくましく生きていく、のでしょうか。どうでしょうか。こんな災厄に見舞われて、あの大国の明日はどっちだ!?
しかし、近藤先生、2015年のダボス会議アジア大会で「日本って、もう年取った金メダリストみたいなもんじゃん」と言われ、ショックを受けたそうな。ふえええ、2015年の時点でそんなふうに思われていたのか。加油日本!