母親の命日だったので墓参りに行ってきた。
帰りに姉と日帰り温泉に立ち寄って、夕立を眺めながら露天風呂。
夏の山の雨はいい、とてもいい。
バグダッド・カフェ
いままで見たことがなかったので、今回初めてamazon prime で見た(現在100円レンタル中)。
・CALLING YOU というあの有名な曲がこの映画の挿入歌だったということを初めて知った(ファーストトップガンのあの挿入歌並に何度も登場してきます)。
・鑑賞後、この作品が西ドイツの映画だと初めて知った。そんな国、この世界にもうない。
・コメディ映画だと思って見ていたら、最後の白いサマードレスのシーンでシスターフッドの物語だったのだと理解する。コメディからヒューマンドラマにまで変化する緩やかな曲線が美しい。
・ともかく「こういう映画だったのかーー!知らなかった!!」と驚いた。なんなら主人公は入墨師のデビーだとばかりなぜか思い込んでいた。あの「太ったドイツ人の女(作中の彼女の夫のセリフ)」が登場することすら知らなかった。
映画の中で特に言及されていなかったけど、バグダッド・カフェの女主人「ブレンダ」は、音楽の世界で身を立てたかったんじゃないかな。あるいはその近くまでたどり着いていたのに、望まないタイミングでの妊娠でその夢を断たれたんじゃなかろうか(でもその才能は息子に受け継がれていた)。結婚したら砂漠の寂れたモーテル兼ドライブインの女主人にならざるを得ず、夫は仕事をする能力が欠けている、あるのは彼女に対する愛情だけ、でもそれではメシが食えない。
こんな生活いや、こんなはずじゃなかった・・その先にあるのはセルフ・ネグレクト。事務所は散らかり放題、掃除もろくにしようともしない、常に怒り続けていないと自我も保てない・・・そんなとき、「ローゼンハイム」から「ヤスミン(ジャスミン)」がやってきた・・・。
そういう映画だったのか。公開後36年経って初めて見た。公開時に見ていたらいったいどんな感想を描いたのだろう。この年齢で見ると、ブレンダの気持ちにとても共感する。「仲良すぎてキモい」といって出ていくデビーの気持ちもわかる。
彼女たちはいまも砂漠で仲良くダイナーを経営していることだろう、ひ孫、玄孫にも囲まれているかもしれない。ずっと仲良く、幸せに、ふたりでたまに草花が咲く窪地でおしゃべりしていてほしい。そうかーこういう映画だったのか。
ロブスター
ここでは、45日以内にパートナーを見つけなければ、あなたは動物に変えられます–。“独身者”は、身柄を確保されホテルに送られる。そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、自ら選んだ動物に変えられ、森に放たれる。独り身になったデヴィッド(コリン・ファレル)もホテルに送られ、パートナーを探すことになる。しかしそこには狂気の日常が潜んでいた。しばらくするとデヴィッドは“独身者”が暮らす森へと逃げ出す。そこで彼は恋に落ちるが-。
痩せたベン・ウィショーが拝められるとは思わなかった。いやっほう。狂気→地獄→狂気→地獄→狂気という映画でした。最後は谷崎潤一郎みたいでしたね。コリン・ファレルって芸達者だなぁ。あの「血も涙もない女」がなにになったのかとても興味があります。ほんとうに血も涙もない女だった。
吉村昭「白い航跡」
薩摩藩の軍医として戊辰戦役に従軍した高木兼寛は、西洋医術を学んだ医師たちが傷病兵たちの肉を切り開き弾丸を取り出す姿を見聞し、自らの無力さを痛感すると同時に、まばゆい別世界にあこがれる。やがて海軍に入った兼寛は海外留学生としてイギリスに派遣され、抜群の成績で最新の医学を修め帰国した。
私は戊辰戦争の実態をまるで私は知らなかったのだ。関東から東北までこんなに多くの町が戦場になっていたとは。明治維新は薩摩藩のクーデターだったのだよな。山形県の旧県庁に観光にいったとき初代県知事が薩摩藩出身のひとと知った。露骨ぅ!
高木兼寛は嘉永2年(1849年)生まれ、今期朝ドラ「らんまん」の主人公牧野富太郎が慶応3年(1867年)生まれ。牧野富太郎たちは、分野は違えど、高木さんたちが切り開いてきた学問の世界の上で研究しているわけです。らんまんの壮大な前日譚としてもぜひ。いま上巻を読み終え、優秀な成績でイギリス留学から日本に帰ってきたところ。下巻も楽しみ。