うろんな客
Black Lives Matter 運動がはじまったとき、あるひとが「あなたの英訳はまるでなっちゃいませんね!」と被せているツイートが目に入った。被せられているのは柴田元幸さん。外国文学翻訳界に明るくない私でも知ってる翻訳家。ツイッターの世界では「相手が猫だと思って喧嘩をふっかけたら虎だった、なんならメガシンカしたリザードンだった」みたいな事案がたまに見受けられますが、いやはやいやはや。
そんなことがあったので、柴田さん翻訳のエドワード・ゴーリー「うろんな客」を読んでみた。「え、これ猫でしょ? 猫のことでしょ? うちの猫でしょ?」と思いましたが、人間の子供のことでした。あれーでも猫でしょー? 猫ですよねぇー?
おぞましい二人
あわせてこちらも読んでみた。なんてこったい。ほんとうにおぞましかった。あの朝食の場面の凄みよ。
エドワード・ゴーリーの優雅な秘密
これは「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」展の美しく上品な装丁の図録。開いてすぐに、猫と一緒に窓の外の風景を眺めるエドワード・ゴーリーの写真がある。人間と猫の視線がぴたりと同じ方向を向いている素晴らしい写真。そして思ったのです、「やっぱり猫なんじゃないのかなーあのうろんな客って」。あの時代の猫がうろんな客ほど長生きしないことは知っておりますが、やっぱり猫でもいいんじゃないでしょうか、ねぇ。
エドワード・ゴーリーが描く、昔流行ったミンクの長いロングコートいいね。上の優雅な秘密の表紙イラストみたいなコート。映画「キャロル」でケイト・ブランシェットが着ていたようなやつ。いいねぇーあの時代のゴージャスさ、ほんとうによい。