これ読めばアシㇼパさんになれるかな?/『クマにあったらどうするか: アイヌ民族最後の狩人』姉崎等/片山龍峯

クマにあったらどうするか: アイヌ民族最後の狩人 姉崎等 (ちくま文庫)

紹介テキストはamazonから。
紹介 クマと遭遇したとき、人間は生き延びるために何をすればいいのか。死んだふり、木に登る、リュックを置いて逃げるといった、巷に流れる俗説は有効なのか?
「クマは師匠」と言うアイヌ民族最後の狩人が、アイヌの知恵と自身の経験から導き出した、超実践的クマ対処法を伝授。クマの本当の姿を知ることで、人間とクマの目指すべき共存の形が見えてくる。
姉崎 等 1923(大正12)年北海道生まれ。12歳で狩猟を始める。22歳から単独でクマ撃ちを始め、1990年の春グマの狩猟禁止までに60頭を獲る。以後、ヒグマ防除隊や北海道大学のヒグマ調査に協力、2001年6月に銃を手放し、65年間の狩猟人生を終える。2013年10月、死去
片山 龍峯 1942(昭和17)年東京生まれ。映像作家。番組制作会社のディレクターとして「NHKスペシャル」等のドキュメンタリー番組を制作する傍ら、片山言語文化研究所の代表を務め、アイヌ語に関する研究の成果が多数の著書に。2004年8月、死去

アイヌと和人の間に生まれた姉崎さん。貧しかったけれども、働いて働いてその合間に狩猟して家を建てて人生を切り拓いていくくだりもすごく面白かったし、ルーツとしてアイヌを選び、アイヌとして昭和の時代にどうやってクマとつきあっていくか、平成の時代どう折り合いをつけていったかという半生も読み応えがあった。なんというたくましさ。インタビューアーが「秋田のマタギはこうやってるみたいですが」と水を向けると、「どうなんですかね」と慎重に言葉を選びながらも「わかっちゃないねぇ」と言外に伝えてくる。ふふっ。

姉崎さんが話す雪山での狩猟方法や自然についてのあらゆる知恵、読みながら何度も「これ、明治末期の北海道・樺太を舞台にした、アイヌの少女と日露戦争帰りがタッグを組んで立ち向かう金塊をめぐるサバイバルロードムービー漫画『ゴールデンカムイ』で読んだやつだ!」と何度も打ち震えた。

ホパラタでクマは逃げない、クマは蛇が嫌いだからベルトを投げて追いやったひともいる、十勝のスルク(トリカブト)が強い、単発の村田銃だから命が守られた・・・などなど。もうね、ゴールデンカムイの参考文献には掲載されていないようですけど、ゴールデンカムイの副読本ということでいいのではないでしょうか、どうでしょうか。

姉崎さん、ご長寿でした。片山さんもこの本を残してくれてありがとうございます。ゴールデンカムイファンの方、ぜひ!

 

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