たのしい週末/寺田克也「ペンシル アンド ボールペン スケッチ!」/川上弘美「卵一個ぶんのお祝い。」など/鞄病の歌

金曜の夕方、六本木で仕事が終わってからサントリー美術館で「江戸時代から動物描きこんじゃうなんてずるいよねー」などとやりとりしながら若冲と与謝蕪村展をさぁぁーっと見て、イセタンサローネでフランク・ミューラーの400万の時計試着してうっとりした。夜は川上弘美の東京日記「卵一個ぶんのお祝い。」を読んだ。手に掴んだ感じと表紙に使われた紙の優しげな質感がなんともいえず、これはただごとではないなと思いながら、奥付を見たら装丁は祖父江さんだった、やはり、さすが。

東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

土曜は長野から姉・甥っ子・姪っ子の3人がやってきて、姉が御用をすませている間、子どもたちを連れてロマンスカーで江ノ島へ。岩屋へ行く舟は運休で、プレジャーボートで島半周するのに載せてあげてから江島神社へ参拝したり大道芸を見たり江ノ島水族館に立ち寄ったりしてからまたロマンスカーに。帰りに新宿のデパートの上の寿司屋で合流し乾杯。とかいってるうちに「渋谷で飲まないかい?」というメールがやってきて、姉たちを見送ったあとは渋谷へ。
渋谷は地上に出るまでが一苦労だし、出てからも一苦労。ラブホテル街を迷いながら店にたどり着く。「なんかっ!ちょっとっ!おしゃれでっ!高そうなお店なんですけど!」と緊張したけど、二杯目に頼んだその店で一番安いグラスワインが華やかで香り豊かで大変においしく「なんじゃこのシャルドネはー」と叫んだあたりから場がほぐれ話が面白くなり、店舗側としては「あーあの奥の席にあの魔女たちを押し込んでおいてよかった☆」と心の底から思っていらしたことでしょう、というくらい男子禁制な展開に。ファッション関係のお仕事の人がいて、「フランク・ミューラーの金の時計でしょ! 脇にダイヤのパヴェが埋め込まれてる金無垢の!? あれはわかる! あれはうっかりその値段で買ってしまっても仕方ないくらい美しい完成度と存在感だもの!」と力説してくれたのも頼もしかった。いや、ほんとうに美しかったのですよ、あの時計は! そしておいしかったあのワイン、おかちんにドヤ顔で送りつけたいくらいのレベルです。ラベルはこれ。

日曜は新宿伊勢丹メンズ館でポール・スミスでお手頃価格の帰省用のリュック、本館に移動してからアバズレ感の高いあっさりしたデザインのミュール、麻のハンドバッグの3点を購入してホクホク。
リュックを買うにあたっては、この二ヶ月間ほど、Y’sで迷い(しかしこのヨージ先生たちの無駄なデザイン要素がなぁ)PRADAで迷い(いやしかし、これってちょっとでかくない? 山でも登るの? なんで山なんか登るの降りるのに[五七五])などと悩んでいたのです、そしたらうっかり立ち寄ったメンズ館のポール・スミス先生のところにちょうどよいのがあったのです! デザイン要素少なめ、どこのブランドのものかわかりにくい、ていうか全然わからない、背当てもしっかり、肩紐もしっかり、チェストストラップもある、頑丈そうな防水加工! 素晴らしい、ポール先生、ディ・モールト!
麻のバッグは、ギャルギャルしいブランドの系列のものなんだけど、着物用にちょうどいい。ホースヘアとか白パイソンとかいろいろ考えたけど、夏の着物ってお値段高くても素材自体は素朴なものが多いので、あまり豪奢な見てくれのバッグでないほうがいいかなと思っていたところ、ちょうどよいのが見つかって本当に嬉しい。惜しむらくはもう少しバッグの開きがよいといいのだけど「この工程は省いてコスト削減したんだね、うむ」というメーカー側のメッセージを静かに受け取ることにした。

買ったばかりの品物を買ったばかりのリュックに全部入れて次は外苑前の寺田克也さんの個展「ペンシル アンド ボールペン スケッチ!」を見に、昨夜一緒に飲んだ女性と。これも素晴らし楽しかった! ちょうど寺田さんがギャラリーにいらしてて、長蛇の列でサイン攻め・握手攻め! 手描きのイラストでほしいのがあったのだけどそちらは売り切れ、アクリル装画(というの?)のカラー作品は数点まだ売れていないのがあって、明るいグリーンのにゅうりんの大きい胸の大きな女の子のカラー作品を購入しました。届くのが本当に楽しみです!!! 最後に高級車ばかりが路駐しにくる風景を眺めながら、一緒に行った女性と酒飲んで解散。いやー、私たち、思ったより飲兵衛になってませんか、なってませんか!?

単調で規則正しい介護週間の空白をぎゅっと埋め込むような、そんな中身の濃い楽しい週末でしたことよ。

十年くらい前の話ですが、寺田さんにむかって「絵がうまいんですねー」と真顔で言った女性がいたそうで、その話は何度思い出してもニヤニヤする。
【邦訳版】DRAGON GIRL & MONKEY KING (寺田克也画集)

日曜の夜からはこれを読んでる。いつものぼんやりふわっとした文章ではなく、すごく普通の短編小説っぽい。描かれている世界の輪郭も、割りとはっきりしてる。こちらは2013年、マガジンハウス「クウネル」で連載されていたものをまとめたもの。
猫を拾いに

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