犬よちぎれるほど尾を振つてくれる(尾崎放哉)/平凡社「作家と犬」

作家と犬

愛犬家へ贈る、作家と犬をめぐる48編! 昭和の文豪や現代の人気作家による、エッセイ、詩、漫画、写真資料を収録。名犬、忠犬、猛犬、のら犬たちの忘れがたいエピソードが満載。

昔の飼い主は随分乱暴な価値観で犬に接していたという記録でもある。「猟犬だったから近所の猫や鳥を噛み殺したこともあるが、人間には一度たりとも手を出してない、えっへん!(意訳)」という文章にくらっとなったりもした、昭和の価値観。

山田風太郎はポメラニアンとアフガンハウンド、檀一雄は秋田、川端康成はワイヤーヘアード・フォックステリア。

川端康成は犬と一緒に写っている写真がいくつか残っているので、愛犬家なのだろうと読んでみるが、その文章からは少々ひやりとするものが感じさせられる、これが川端康成なのかと感じさせられるなにかである。たとえば愛犬家としては「血統書犬を飼うべし」としている。「血統書犬は心臓が弱いとか病気になりやすいといって嫌うひとがいる、それも一理あるが、麻疹や疫痢が怖いから子どもは産まない、家財道具だっていつ火事に遭うかわからない、貯金も株も他確かでなく、第一そういう人の命だってどうなるかわからない」と「いつ血統書犬飼うの? いまでしょ!?」と叩き込んでくるかの勢いもあったりする。愛なのかな? 不思議なおじさんだ。

檀一雄の秋田は坂口安吾由来のもの。坂口安吾が秋田犬ブリーダーのもとに送った「檀一雄くんのためによい秋田を一匹あつらえてもらえないでしょうか。檀一雄くんは南氷洋に氷河見物に行ってしまったので、その間都合がつくようでしたら僕に連絡をください」という内容の手紙も収録されている、しみじみとした、安吾先生やさしい。

種田山頭火の犬についての日記文や尾崎放哉の犬俳句もよかったです、向田邦子の甲斐狛の話も。

しかし、猫は楽だな、うん。うん、楽だ。

作家と猫

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