夜半の春スローターと聞きとめし/タイニー針山・BBC・金価格高騰とか/「戦争は女の顔をしていない」

2月15日、ロシアがウクライナに侵攻するかもしないかもというニュースが出て、一瞬金価格が高騰した。戦争が起きたらいやだなーと日中気もそぞろに過ごしたが、夕方世界情勢お知らせアカウントの人が「どうやら落ち着きそう」とツイートしていたのを見て、これは金価格も明日には落ち着くかなと判断したわたくし、使ってない貴金属を1点持ち、シタっと新宿西口 ● ● 兵買取センターへ。
店頭で女性店員さんが電卓で示す買取価格をみて「ネットに出ている〇〇屋さんの買取価格から一割も下がるんですね、へー」とつぶやきましたら、店頭の女性がちょっと奥に下がって別の数字をだしてくださいました。まぁ妥協できる金額、うん、よしこれで次の〇〇の資金に、ぐへへへと。

その日はそれで終わると思っていたんですよ、それで、ウクライナ情勢も落ち着きロシアも軍を引っ込めると思っていたんですよ。

それから2週間、3月になってから今が21世紀とは思えない事態になってしまった。3月1日の夜、BBCのライブ配信を見ながらタイニー針山を仕上げた。イギリスのジョンソン首相、エストニアのカッラス首相とNATOのえらいおじさんの三者記者会見。会見場所はNATOの基地。記者会見を30分ほど、その後スタジオから続く報道を1時間ほど見ながら仕上げた。

だいたいなぜ同じデザインの針山を2つ作っているのかと申しますと、最初に55目の布で針山の表面を刺繍した。次にそれを仕上げようと手近にあった布で刺繍を始めた、仕上がった、表面と並べてみた、目が違った、65目だった、ギャフン! あわてて55目の布で裏面をちくちくした。そちらを先に仕上げた。65目の表面が残っていたので赤いラブリーな色でそれに揃えて裏面をちくちくした。そして3月1日の夜、BBCのライブ配信を見ながら仕上げたというわけです。27ドットの刺繍で、65目が3.9cm、55目が4.8cm。

 

 

刺繍している間、何度も「genocide」や「slaughter」という単語を耳にした。

先月、「戦争は女の顔をしていない」を読んだ。作者はウクライナ生まれ、ベラルーシ国籍のロシア語を使うスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ。第二次世界大戦へ従軍した女性たちへの聞き取りをまとめたのがこの本。生理の経血を流しっぱなしにして行軍する女性兵士が、血がかたまってバリバリになった軍服で今度は内股に切り傷を作る、戦場の大きな負傷も恐ろしいけれど、こういう地味な痛みが戦争中各所で起きる。そんな本を読んだばかりだったので、なぜこんな侵攻が起きているのか。同じ言葉を使う人達がなぜこんなことに。早く終わってほしい。

海外の刺繍図案サイトをよく見てまわっているのですが、この世にはものすごい図案というものがあるのです。小さい面積に鮮やかなグラデーションを生み出し、細かさもさることながら色糸選びが絶妙で、そういうのはたいていウクライナ女性が作ったものが多いのです。わたしにとってウクライナは、青空と小麦の国旗と、凄腕図案女子たちが暮らす国です。彼女たちが一日も早く元の生活に戻れるよう祈るばかりです。

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)

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