地獄への道が善意で敷き詰められている件について/橘玲『日本人というリスク』

 
アベノミクスの浮かれバブルになにか冷水浴びさせるようなご本はないかちら、と書店を歩いていたら、橘玲さんの『大震災の後で人生について語るということ』を加筆、修正した文庫本が出ていたので買うてみた。ここに『地獄への道が善意で敷き詰められている』というマンマなタイトルの章がありまして、この章が大変わかりやすかったのでご紹介したい。
(東日本大震災で二万人以上の方が亡くなった → しかし日本では、ここ十年、年間三万人以上の自殺者がいる → 自殺者は中高年の男性が圧倒的に多い → これは日本の雇用環境が変わったことに寄ることが多い → つまりはこれも目に見えない災害である) → そしてその自殺対策なのであるが、ここが善意で敷き詰められている → 自殺者の増加は失業者の増加と相関しているので、雇用を増やし失業者を減らす施策をとるべきだと考える → つまりは企業が簡単に労働者を解雇できなくすればよい → そのような条例ができると企業としては雇用を打ち切ることができなくなる → そんな状況になるくらいなら、採用を控え、非正規社員やパートやアルバイトで済ませようとする → 不況になれば彼らはまっさきに解雇されてしまい、結局失業率は高止まり → それならば非正規社員を正社員にすればよいではないか、三年経ったら正社員に雇用するというのはどう? → 企業はもともと正社員を増やしたくないのだから三年経ったら雇い止めに → ぐぬぬ、それならば仕事を失った人たちが消費者金融でお金を借りて多重債務問題に陥らないように貸金の金利に上限を設けたり、借りられるお金も制限をつけたら? → 金利の上限を守るようなところでは貸してくれるお金には限度があり、結局法の外にある業者に金を借りる事になる、金利の上限などをつけたばかりに、闇金が存在するのだ。きみらはナニワ金融道や闇金ウシジマくんでいったいなにを学んだのかね?
最後のは私が勝手に追加したとこ。
この本の後半に、2006年代に普通のおばさんがどうしてFXで儲けることができ、そして今淘汰されているのか、ということが書かれており、にゃるほどーと膝を打ったりもしました。なるほど、乗るしかなかったのか、あのビッグウェイブに・・・(違う)。
一昨年の春、マンションを買おうとして、方角を見てもらいに占い師さんところに行き、ひとまずこの方角でいいんじゃないのという話がまとまったあと、「でも私が買った途端に大地震が起きそうで」とボソリと言ったら、「そんなこと言ってたらあんた、なんにもできないわよ?」と先生に呆れられたことも思い出した。その占いに行った週の金曜日に、東日本大地震が起きたんだけどね。

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