今週の本と映画と着物支度/「ある犬の飼い主の一日」「怪物」アメリカン・サイコ三連発!

着物を改めて着直そうとせっせとお片づけと準備してる。「この産地のはもう品物が出てこないのでは?」といったものがいくつかある。ちょっとした財産だなぁと振り返りながら、一体誰がこれらを選び、これらの支払いを済ませたのかという最大の謎が残った(私です)。浴衣が複数枚あったのでいとこや親しい人に譲る算段もついた。幸せにおなり。

ダメになってもいいからと使い込んだ博多帯を浸け置き洗いしてみた。入居後5年目に初めてカーテンを洗うとこんな色水が出るよね。おそろしい。人生初糊付け体験もした。楽しい。

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とても気に入ってるサマーニットがあるのだが、袖に西川貴教的装飾がついているのが気になる。「生地がいいんだけど、この西川貴教部分がなぁ」と友人と話してたら、「切っちゃえばいいじゃん、そこ」と指摘された。あぁなるほど。ちょうど生地が重なっていたので、チョキチョキ切っても問題なかった。あぁーーもっと早く切っちゃえばよかったーーーいいウールなんだよ、これ! よかったよかった。

株式会社 突風 T.M.Revolution 西川貴教 コスプレ 公式 ホットリミットスーツ

「ある犬の飼い主の一日 (新潮クレスト・ブックス)」サンダー・コラールト,長山 さき

ある犬の飼い主の一日 (新潮クレスト・ブックス)

舞台はオランダ。主人公は55歳の中年男のヘンク。離婚して老犬と暮らすICUのベテラン看護師。かわいい姪の誕生日の夏のある朝、散歩中、ある小さな事件が起きる…

そんな朝から始まる一日を丁寧に描いた物語。オランダでは物語は長ければ長いほど文学として評価が高いという風潮があるそうで(文化がちがう!)、「これほど短い物語でも人を感動させることができるなんて!」「本書は薄いが中身が濃い」といった率直な評価を受け、権威あるリプリス文学賞を受賞しています。オランダのそんな背景を教えてくれる訳者あとがきも必読です。

それにしてもこんな愛しい物語ってないですよ。登場する老犬はオランダ原産種のコーイケルホンデイエ。やや小さめの、でもしっかりした体躯の中型犬で垂れた大きな耳が特徴。犬種紹介サイトによると、子どもともほかの犬とも仲良くできる穏やかな性格で、番犬にはまったく向かないタイプだそうです。

中年の主人公は、すべては過ぎ去るものであるといこうことを理解している。そのうえでなんと愛おしい一日を、彼は過ごしたことか。
彼は犬の顔を見つめてこう思う、「これほど親密な関係を他の生きている存在ともったことがあるだろうか」、と。わかる、私と猫がいままさにそれ。気がついたらどんな哺乳類よりも、一番親密な関係を築いているのは、猫となのではないでしょうか。だいたい最近は、ウカ紀元16年とか、「ヒグマカレンダー作ったのはウカ紀元前4年のできごとじゃよ」などといってくるくらいです。

他者には説明しにくいほどの、生き物と密で親しい深い関係を築いている全中高年よ、この本を読んで、ぜひ読んで! キリッと冷えた白ワインが隣にあるとなお最高と思います。なんてったって著者近影が最高なの、猫を抱く飼い主、その飼主を見上げるコーイケルホンデイエ、その犬を叩こうとする腕の中の猫! AFLOさんで扱ってくれたら買って額装しちゃうのに。なんてたってサンダー・コラールトさん、愛犬大好きおじさんですから! マッツ・ミケルセンで早く映画化するといいんじゃないかな? お酒呑んで酔っ払うシーンがあるし、お隣じゃないけど近い国だし。

是枝裕和「怪物」

怪物 (宝島社文庫)

圧巻の子役二人! いじめっこ役の子たちも巧みでしたね。そして田中好子の存在感! 瑛太のことをわたしは初めて見直した。
劇場の座席に座り、最初の火事のシーンが映るまで、ロケ地が長野県諏訪市中心だとは知らなかった。いろいろな媒体の映画批評を読むと、舞台の説明文がいろいろ異なっていてちょっとおもしろい。「大きな湖のある地方都市」「湖のある郊外の町」「湖を囲む地方の町」。どれが一番表現としてふさわしいのかしら。
「あらゆる公共施設が古い・・嘆かわしや没落ジャパン!」と思ったら、すでに廃校となった学校で撮影したと聞き、なるほどそれは古いわと納得した。
鑑賞中は、観客全員が息を呑んで見守っているのが伝わってくる。40分のドラマが3本入った作品です(壮大なネタバレ!)、なるほど、そんなところも含めて脚本家の坂元さん由来の作品ということですね。
最後のシーンが銀河鉄道の夜のようで美しかったですよ。子役の二人やスタッフさんたちが草むらで切り傷作ってないか心配。

アメリカン・サイコ三連発!

ヒッチャー

ヒッチャー(1986)(字幕版)

ルトガー・ハウアー主演のヒッチャー。冒頭、ロングドライブに疲れて運転中にうたた寝してしまう主人公(C・トーマス・ハウエル)。はっと目を覚ますと、路上に男が立っている。ヒッチハイクしているその男(ルトガー・ハウアー)を主人公は載せるのだが、それは惨劇の始まりだったのだ・・・!

見終わった感想です。

1.主人公は冒頭のうたた寝で交通事故死してしまい、残りの惨劇は死出の旅を表現したものだった
2.主人公は、実は内面にルトガー・ハウアー演じる殺人鬼を有しており、彼が眠ったり意識を失ったりする間にルトガー・ハウアーが出現し、主人公が目覚めたときにはあたりは血の海になってしまうのだった(これだと最後のナッシュちゃんのところがちょっと辻褄合わないんだけど)
3.ルトガー・ハウアーは実在していて、アメリカ映画あるあるな胸糞粘着アメリカン車社会ロードムービーだった

3.なのか? 3.なの? 公開当時に鑑賞したひとにきいたら「粘着BLでは?」と回答をいただきました。ほほぅ!

さて、3. で言及した胸糞粘着アメリカン車社会ムービーとはこの手の作品です。よろしくどうぞ。でも「アオラレ」だって羅生門事案なんですよ? 真相は藪の中ざます。

激突! (字幕版) ノクターナル・アニマルズ (字幕版) アオラレ(吹替版) 

 

ノーカントリー

ノーカントリー (字幕版)

劇場でも見たことあるけど改めて。

殺し屋のシガー(ハビエル・バルデム)は、気分次第で平然と人を殺す殺人鬼だった。だが、投げたコインの裏表を当てた者は撃たない等の独特のルールを持っていた。ギャングから依頼を受けるシガー。麻薬取引の現場から200万ドルが消えたのだ。

関谷~!! ゴールデンカムイの関谷輪一郎!!
ハビエル・バルデムの狂人っぷりが何度見ても素晴らしい。あの田舎道の商店のおじさんが死ななくてよかったー。

 

アメリカン・サイコ

アメリカン・サイコ (American Psycho)

アメリカの金融バブルが膨れ上がりつつある時代を描いた空っぽ男子たちの物語。1991年公開作品。名刺の見せあいっ子会談楽しいよね。あんなに印刷技術にこだわりと知識があるヤッピーがあの時代にいたとは。
俺のほうがイケてる、俺のほうがセンスがいいバトルは、わたくし、子供の頃にある作品でピカーンと理解しているのです。「キャンディ・キャンディ」でおめかししたキャンディを物陰から見つめるイライザが「あのリボン、シルクだわ、キィィィ!」といってるあのシーンで、すべて理解してしまったのです! そういうのを繰り返さないと生きていけない人種がいるのです(イライザの老後が穏やかなものであるといい、と、今では心から願う。ニールもね)。
でもこれが日本になると、山田芳裕の「やぁ!(1991年、『ミスターマガジン』、講談社、全1巻)」になるわけではないですか。日本って平和~。

考える侍・やぁ!: 山田芳裕傑作集 2 (小学館文庫 やB 2 山田芳裕傑作集 2)

なぜかアメリカの変態シリアルキラー作品を三本続けて見てしまいました。シリアルキラーと孤独なドライブ、アメリカ映画と車は切っても切れない関係ですね。登場する車一台が語る情報量が多すぎる。胸糞映画とか鬱エンド映画ってのも、彼の地では需要があるんでしょうなぁ。

 

ミスト (字幕版)

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