私の人生には冒険が足りない/クロサワコウタロウ「珍夜特急」

[まとめ買い] 珍夜特急 2nd season

北米大陸の北端から、南米大陸の南端まで5万キロをバイクで横断した著者のほぼ実話物語。読みやすい文章なので、読み始めると時間を忘れて1巻のアラスカ編から、9巻で日本に帰国するアルゼンチン編まで二週間くらいかけて読み通した。

アラスカやカナダ、アメリカの旅は想像がつくものでしたが(水曜どうでしょうアメリカ編・アラスカ編で出て来る土地がたくさんでてくるだよ)、メキシコからアルゼンチンまでの旅は、自分にはまったく縁のない社会の話で「当時のメキシコってまだ全然治安よかったんじゃん」とか「メキシコより怖いのはコロンビアだったのか」、意外と物価が高いチリ(経済発展してるということだね)、まだそんなにメジャーじゃなかった時期に訪れたウユニ塩湖の話や経済破綻直後のアルゼンチンでの滞在日記は大変に興味深く面白かった。

マシントラブルが起きてヒヤヒヤしても、南米の高地の小さな集落の溶接屋さんがなんとかしてくれたり、ちょっと大きな街にいけばホンダショップが必ずあり、なんとかバイクで最終目的地にたどり着くことができる、よかったよかった。しかし標高三千メートルの高さの未舗装の道を400km走るなど、道中なにかあったらどうするんだろうという過酷な旅。この道中、著者が撮影した荒野の写真に旅心を掻き立てられつつも、JTBがお膳立てしてくれない限りわたしには無理! そんな過酷な旅物語。

毎晩寝る前に読み込んでいたので其の夜に見る夢はこの物語と地続きになり、ある晩はウユニ塩湖でマシントラブルに見舞われひとりで荒野で救助を待つのにうなされたり、今朝はアルゼンチンから出国した著者の話のままにわたしも地球のどこかにある都市の見たこともない空港の三番ゲートから出国する夢を見た。なんという臨場感。面白かった。もうこれで今年の旅心は全部満たされたと思う。面白かった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください