宝塚無音発声鑑賞会/星組公演グランステージ「桜華に舞え SAMURAI The FINAL」ロマンチック・レビュー「ロマンス!!」

句会のマダムのお一人から「鶉ちゃん(わたしの俳号)、北翔海莉さんの退団公演のチケットがあるんだけどいk」と声を掛けていただき、「行きます行きます行きます!」と挙手して行ってまいりました。

さて、今回の「桜華に舞え」は、明治維新ののち、田原坂で散った鹿児島藩士・桐野利秋のお話。西郷隆盛に憧れている少年剣士だった中村半次郎が攘夷、そして維新の波にのまれ、会津戦争では会津城の受取を執り行い東京で活躍したのち、政治闘争に巻き込まれ涙を飲んで鹿児島に戻ってきて、そして田原坂で散るお話。あたい、この演目で明治維新から西南戦争までの流れがよく理解できただよ! ありがとう、宝塚! 日本人はもっと近現代史の勉強に時間を割くべきだよね、ね!

素晴らしいステージでございました。どんなイケメンアイドルでも実際に演じるには躊躇しそうな切れ味がよく見栄えのする殺陣、「いやーん、桐野さんが死んじゃうぅぅぅー」という局面間近なのに素晴らしく格好よく見栄を切るので、客席は歓喜の涙! 後半、ぐすんぐすんと鼻をすする音があちこちから聞こえ、客席にはさざなみのようにひらひらと動くハンカチの波が。わたしも出かける前に「どんな演目か知りませんが、多分涙をながすことになりそうなので!」とゆるめの織りのコットンのハンカチを持っていきました。もちろん双眼鏡も持参しています。前から4列目、通路のすぐ隣の超絶良席だったにもかかわらず、人は双眼鏡で男役トップスターの顔を覗いてしまうものなのです! そしてハンカチはぐずぐず。退団公演の演目に、散って名を残すような物語を残すなんて、うわぁぁん、ほくしょうさーーん!!!!

続くレビューも素晴らしかった。この公演を最後に退団してしまう北翔海莉さんと妃海風さん。レビューの舞台は近世ヨーロッパだったり、50年代のアメリカだったりするけれど、二人は星組の永遠の男役トップスターと娘役トップスターなんやで、二人はどの時代に生まれても結ばれたんやで、お前ら、目ぇかっ開いて二人の姿を記憶にとどめておくんじゃぁという演出側の思いがひしひしと伝わり、涙がダバダバリ。このレビューの間も要所要所でぐずぐず泣いてしまい、もうハンカチが意味をなしてないっ! なによ、この出し惜しみのなさ! バカー! 阪急のバカー!!!

 

そんでな・・・前から4列目、通路のすぐ隣の超絶良席ででしてな、あのオーケストラをぐるりと囲む花道ございますでしょ? あそこにスタァたちが並ぶとふわぁぁっていい匂いがするの。今回はね、グランステージ(お芝居)のときにも通路使われたし、レビューのときもスタァなみなさんがわぁぁーって駆け抜けてくれたの、調子に乗ってハイタッチしてもらったりしたの。そのときね、わたしのまわりに薄桃色のふわぁぁっていい匂いがする霧がかかったの・・・・

 これがオーラなの!?

 これが宝塚のスタァたちが放つ

 オーラというものなの!!!

シンゴジラ見てる時、口を手で覆って「ひぃぃぃぃ」と身体硬直させて2時間集中して見ていたけど、今回の宝塚もそんな感じだった。わたしにはわかる、通路の反対側に座っていたボーダーシャツのあのお嬢さん、ずっとお芝居の最中、「やめてー」「こっち見ないでー」「妊娠しちゃうー」「神様はなんでこんな人をこの世に送り出したのー!」「おねがいー!」「ぎゃー花道に花道に!」「フェロモンが届いてるの、客席にっ、あなたのっ、フェロモンがっ、届いているのっ!」「このフェロモン兵器が!」「退団するくせに退団するくせに、こんなフェロモンを放つなんて!」「バカー」「やめてー(振り出しに戻る)」っての繰り返してましたもの。わたしもそれ繰り返してましたもの。恐ろしい! 宝塚というのは、みんなお行儀よく静かに見ているけど、実は無音できゃぁきゃぁ発声してる鑑賞会なんですぞえ!!!

 

見終わったあと、マダムたちとお酒一杯だけ飲んで帰りました。平たくいうとみなさんお顔つやっつや。「パリのムーラン・ルージュを見てきたけど、観光業って感じで滅多糞だったわねー」「そうよそうよ、宝塚の爪の垢でも煎じて飲むべきよ!」「この出し惜しみのなさと女性ならではのフレキシブルさが魅力よねぇ」「そうよそうよ、松竹の一万六千円のチケットは高すぎるわよ!」などと。わたしもお顔ツヤッツヤ。あの劇場から一体どんな物質が放出されているのか、毎回不思議な思いがいたします。みんなも行こう、宝塚! そして、ふわぁぁって飛び出てるあのいいにおいを嗅いでくるがいい!!!

2 COMMENTS

ふなき

私は一回18列目の下手端っこよりで見てましたが、やっぱり客席降りでは良い匂いがふわあぁっと漂いましたことよ。実は宝塚には「退団公演に良作無し」というジンクスがありまして、私も当初は今回の公演もあまり期待できないかも・・・と思っていたのですよ。ところが、本拠地宝塚で幕開けして以降、彼の地から伝わってくる「泣けた」「もう号泣」という評判。そして「日に日に比較的年齢の高い男性の観客が増えていく」という情報に、いったい星組に何が起こっているんだ?と、ドキドキワクワクしながら観劇しました。「言う手も退団公演やし、泣く人ってのは北翔さんファンなんやろ」と思って油断してたのに、気が付けば滂沱の涙・・・。恐るべし宝塚。おそるべし斎藤吉正(演出のセンセイね)。隣席の友人も後半は涙をぬぐいっぱなしでした。
ショーは「これぞ宝塚!」という夢夢しい演出が特徴の岡田先生のロマンチックレビューシリーズ最新作。岡田先生は昭和初期に花詩集を手掛けた白井鉄造先生の直弟子に当たる重鎮で、もう一線を退いてるんだけど、今回北翔さんのためにひと肌脱ぎましたよ。衣装も宝塚の重鎮デザイナー、任田幾英先生の手によるメルヘンチックなもので、久々に「古き良きタカラヅカ」の世界に浸りました。
もうお肌ツヤッツヤです。

アタクシ的には星組の天寿光希さんにもっと活躍の場を!!と無音で叫んでおりました。

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いち

天寿さん、出てらしたのね!

なんかこういうキラキラしたもの見たいなあ。
人間という存在を根底から問う、みたいなのじゃなくて(笑)

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