きついけど、いい映画だった。
あるい若い女の子がレイプされた後、焼かれて殺されてしまった。その母親は心の傷が癒えず、事件から数ヶ月経過しても犯人が見つからない。母親は町外れに警察を糾弾する三枚の看板を出すが、そのことからミズーリ州の小さな田舎町に波紋がもたらされて・・・。
『世にあるあらゆる差別と偏見にがっちり向かい合いやがれ、世界よこれが現実だ!』、そういう映画でした。
あのボンクラ・レイシスト・巡査(サム・ロックウェル)が、ほんとうにほんとうにボンクラで、「あの男は、砂のあるところで、そういうことをしたんだ」「えっ、砂のあるところってどこですか?」っていうくだりでみんなをズコーッとさせるあたりとか、ほんとうにボンクラで。でもそんなボンクラ男子が、父親代わりのホニャララを失ってからやっと目が覚めたりとか。
河原のピクニックでホニャララを持って茂みにいくあたりと、そのすばらしい休日を過ごした夜の時間の対比とか。
そしてそういう現実だからこそ、白黒はっきりつける爽快なエンディングには至らず、グレーな社会で折り合いつけていくしかない、ぼんやりとした、でも決して不幸な匂いが濃いわけでもないラストシーンとか。
アカデミー賞では、主演女優賞をフランシス・マクドーマンドが、助演男優賞をサム・ロックウェルが受賞。よかったもの、この二人ー。こういう演技ができる日本の俳優が思い浮かばないものー。あ、あと、Wikipediaのスリービルボードの項目読んじゃだめです、物語の内容がすべて書き起こされています。
まぁでも、ブラック・コメディっちゃブラック・コメディなんですよね、ブラック過ぎてほんとについていけないんだけど。