疫病が国家を襲う物語/トーマス・マン「ヴェニスに死す」

疫病の話をなにか読みたいなと思っていたところ、「ヴェニスに死す」がちょうどKindle Unlimited で解放されていたので読んでみた。「ヴェニスに死す」の内容はちっとも知らなくて、「なんだかすごい美少年が出る」「どうやらベネチアが舞台らしい」「その美少年は、ただいま65歳、スエーデンのイケオジとなり、阿鼻叫喚祝祭映画『ミッドサマー』に出演している」程度の偏った情報で読んでみた。

トーマス・マンがドイツ人作家ということも知らなかったし、第一次世界大戦前の1912年に発表された話ということも知らなかった(思ったより昔だ! 日本でいったら夏目漱石の時代だ!)。日本では明治が終わり大正が始まった年、スコット隊が南極点に到達し、タイタニック号が沈没した年。

そんな時代にドイツ人作家がヴェネツィアに旅した。彼の地のホテルで出会ったポーランド貴族の美しい少年を見初め、悶々と彼を追いかける日々をすごすのだが、この世界有数の観光都市は恐ろしい疫病に襲われはじめていて・・・というお話。

 

観光で国を立てるって無理がある話だなぁとひしひしと感じました。かつて先進国と自負していた国ならばなおさら。「なんでまたこんな儚げな経済戦略を選ぶことになったんでしたっけ?」と、政治家や経済界のみなさんを校庭に並べ、ぎりぎりした小石の上に正座させてとっちめたいところです。

 

さて次は、「周囲は大変な疫病が流行って大騒ぎしているのに、お城ではぐるぐる通路の奥の部屋で、王様たちがときの大臣のお誕生日パーチーを楽しそうにやっている」というお話だったと記憶しているアルベール・カミュの「ペスト」を読もうと思いますー。

 

2 COMMENTS

いち

うわー、疫病流行って街から人がいなくなってるときに、
お誕生日会だの資金集めだののパーティーしてる人、
令和の時代にいるよっ‼︎
よげんのしょ……。

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ukasuga

でもその話、ペストじゃなかったのよね。もっと短編だった記憶が。カフカちゃんなのかなぁ。中学生時代のときに青臭い見識で読んだあの頃の本を引っ張り出してこなくては。。もしかしたら星新一かもしれない。

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