花ミモザシュトゥットガルトは大都会/ヘルマン・ヘッセ「車輪の下」

その「ベニスに死す」のトーマス・マンの葬儀で弔事を読んだというヘルマン・ヘッセの「車輪の下」をいま読んでる。子供の頃読んだことがあったような気がしていたけど、違うな-、あれは「にんじん」だったかなーなどと思い出しながら読んでいる。

「車輪の下」はヘッセの自伝的小説で、周囲の期待を一身に背負いシュトゥットガルトの神学校に進学した主人公のハンスの青春の物語。そこでシュトゥットガルトがハンスにとっては大都会だったのじゃということが書いてあったので、ほほぅとページをめくる手を止めた。

ヘルマン・ヘッセは1877年生まれのドイツ人、1962年没。父親はスイスのバーゼルの宣教師で、バーデン=ヴュルテンベルク州のカルフに生まれる。google map でいうとこのあたり。

シュトゥットガルト!! 去年、甥っ子と遊んだところだわ! ポルシェ博物館とベンツ博物館のある街だわ! 楽しかったわ-。そしてカルフ! カルフといえば飲みやすいドイツビールではございませんか! あの凶悪そうなクマのイラストの! ドイツバーン乗りつくしの愉快な旅はこちらからお読みいただけます。甥っ子は初めての海外旅行で五カ国も経験できて、ほんとうに愉快なアレクサ風おばさんを持った幸せものですよ(自画自賛)。

 

受験が終わって開放感にひたるハンスが、ドイツの初夏を満喫する場面の自然の描写が美し素晴らしい。暗い樅の木の森の中を、苔や草でふかふかになった土を踏みしめながら歩いていくハンス。そらーもちろん、日本の春だって、欧州の春だって、春はひとしく美しいものですが、電子版の画面で2ページ半に渡って描写される黒い森の初夏の様子にうっとりした。しかも自分で一度は目にした土地ともなれば親しみも湧くってもんですよ。

大人になって、これだけ飛行機がバンバン飛び交う時代になって、もーいろんな聖地巡礼に忙しい。トーベ・ヤンソンのフィンランド、楽しかった、国をあげてムーミン推しなところも潔くてよかった。スプーンおばさんが小さな旅をしたノルウェーやアルプスの少女ハイジが歩いたスイスも、ザムザが困ったことになってしまったプラハも、みんなよかった。もっと聖地巡礼させてほしい。早くこの肺炎騒ぎが収まりますよう。

 

いやほんと、車輪の下で道草食うのもいいんですが、早くカミュの「ペスト」を読まねば・・・それも今! などと思いながらつらつらと Amazon の書棚を眺めていたら、「もう一度読みたい 教科書の泣ける名作 再び」という本が目に止まった。「泣ける」というタイトルが気に入らないですが、これは読んでみたいです。収録作は、「スーホの白い馬」「走れメロス」「少年の日の思い出」「ベロ出しチョンマ」「レモン哀歌」「トロッコ」「オツベルと象」「おこりじぞう」ですって。

2 COMMENTS

いち

うわ、その教科書の名作のラインナップ、
私の人格形成にかなり影響及ぼしてる!
すぐ読めるから、そこに「しばてん」も加えて!

返信する
ukasuga

スーホの白い馬を私は読んだことないんだけど、表紙のイラストだけで泣けるんだけど、つまりそういう話だよね? 映画館で予告編だけで泣けてしまう人間には、あの赤い服のイラスト、ほんとうに切ないよぅ。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください