ハコヤナギ ダルトンハイウェイ 歩く人/栗秋正寿「アラスカ 垂直と水平の旅」 北極圏突入~アラスカ半島870マイル~

アラスカ垂直と水平の旅―冬季マッキンリー単独登頂とアラスカ1400キロ徒歩縦断の記録

サブタイトルは「冬季マッキンリー単独登頂とアラスカ1400km 徒歩縦断の記録」。
え、冬季、マッキンリー、単独、登頂? 
植村直己さんもなし得なかった冬季・マッキンリー・単独・登頂? 

Wikipediaから著者プロフィールをコピペいたします。
栗秋 正寿(くりあき まさとし、1972年8月15日 – )は、日本の登山家。冬季アラスカ山脈登山の第一人者。冬季マッキンリー単独登頂(世界で4人目、史上最年少)冬季フォレイカー単独登頂(世界初)、植村直己冒険賞受賞。「山の旅人」と自称。
雑誌「山と溪谷」2011年5月号のインタビューにて、「アラスカはいわば、登山技術以上にキャンピングスキルがものをいう世界」と述べている。

こんな人物がいるとは知りませんでした。角幡唯介さんの「そこにある山 結婚と冒険について」で紹介されていたので読んでみた(違う本だったらごめんなさい)。

著者は福岡出身、お世辞にも山岳登山の練習のしやすい距離にあるとはいえない土地で独自の訓練を積み、二十代後半、マッキンリー単独登頂に挑戦します。

登山家が書く文章というものは往々にして、ヒリヒリとした厳しさが感じられるものが多いように思いますが、栗秋さんの文章はびっくりするくらい淡々としていて、とても爽やか。宗教家かなってくらい穏やか。「なにがなんでも登ってやるぞ!」という気迫も感じられない落ち着いた文章。非常にあっさりとテント内の様子を描いているのですが、そこは気温マイナス40度、標高5000メートルの土地だったりするんです。しかも、名誉欲や征服欲をギラギラたぎらせていてもまったくおかしくない二十代後半という年代に、とても淡々と飾らない言葉で。栗秋さんってば相当な人格者なのではないでしょうか? 

この本は、そのマッキンリー登頂の垂直の旅と、アンカレッジから北極海側のプルドー・ベイまで1400kmを徒歩で横断する水平の旅の二部構成になっています。

マッキンリーを下山した栗秋さん、約一ヶ月休養をとってから早速徒歩縦断の旅に出ます。1日の走行距離を15~20kmとしてそれ以上は歩かない、ゆっくり進む。現地の人と交流が発生したら交流を優先する。釣りの機会があったらできる限り釣りを楽しむ、そんなルールを課してのんびりと進みます。彼は行く先々で現地のアラスカン、移住した日本人らと交流します。お世話になったひとの名前をすべて書きだしておこう、できるだけ漏らさないようにしようという誠実な文章が続きます、このひと、ほんと、多分すごくいいひと!! 

フェアバンクスでは手紙を預かり、かつてゴールドラッシュで湧いた街コールドフットの住人へ渡し、ダルトンハイウェイを北へ北へ歩いていきます。それはもうほんとうに爽やかで心温まる旅で、アラスカの人たちの優しさに読んでいる私の心まであたたかくさせてもらいました。

 

・・・・でですね、「ぬぬぬ、ダルトンハイウェイ? コールドフット? どっかで聞いたことあるなー」と思い出したのが、水曜どうでしょうの「北極圏突入~アラスカ半島620マイル~」企画。アンカレッジからキャンピングカーを運転してコールドフットへ向かうが、途中で「北極圏の未舗装の道は、君ら素人の運転じゃ危ないですよ」と現地ドライバーに運転してもらっていったあの旅ですよ。「彼の先祖はジム(神武)天皇」のあの道ですよ!!

栗秋さんのアラスカ踏破が1998年4月3日から7月6日、水曜どうでしょうの「北極圏突入」のアンカレッジ到着が1998年9月11日。アラスカのひとたちは、こんな珍妙な旅をする日本人たちを同じ年に優しく迎えてくだすったのですね。やさしい、アラスカのひとたち、優しい。人口70万人の州ですものー、「また変な日本人がきたぞ」「え、この前帰ったばかりじゃなかったっけ?」などと現地ではすぐに情報がまわったのではないでしょうかどうでしょうか・・・。

栗秋さんは、アラスカの山と道の旅をまとめた本を昨秋出されたようで、こちらも近々読んでみたいと思います。
山の旅人 冬季アラスカ単独行

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