胸中の凩咳となりにけり(芥川龍之介)/磯田 道史「感染症の日本史」/コロナショックに寄せて その29

感染症の日本史 (文春新書)

感染症の世界史と思ってタイトルをよく確認せずに取り寄せたら、感染症の日本史でござった。ぎゃふん! こっちを読むつもりでおりました ↓ 、表紙が全然違うじゃん! 

感染症の世界史 (角川ソフィア文庫)

著者はNHKの歴史もの番組によくでている磯田先生、「武士の家計簿」でブレイクした先生。

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

日本でどのように感染症と向き合ってきたのかをまとめた新書で、古くは大仏建立の時代から大正時代のスペイン風邪まで、特にスペイン風邪は今回の新型コロナウイルスと情勢がよく似ているため、その流行と収束、それに居合わせた人々の日記や文章を追って詳しく紹介している。また幕末の攘夷運動の引き金となったもののひとつにコロリ(コレラ)の流行があったことを指摘している。

歴史の流れにいままで着目されていなかった側面から分析していく作業を著者は「補助線を引く」と定義づけており、本書では明治維新の歴史にコレラという感染症の補助線を引いている。これにより歴史の解像度がぐっとあがりますが、あんまり大河ドラマなどではその辺のことを描いてないですよね。コロナ禍での番組制作を進めていると思われる今年の「大河ドラマ」の「青天を衝け」ではどのように描かれるのでしょうか。

スペイン風邪のときは、会食や懇談が多かった原敬も罹患し体調を戻すのに一年間近くかかった。秩父宮も感染した、こちらも万全でない状態が長く続いた。宮沢賢治の妹のトシもスペイン風邪に感染する。東京で三ヶ月の入院治療を終え故郷花巻に戻り教鞭をとるも、二年後に結核で倒れ亡くなる。永井荷風も感染するがなんとかとりとめる。内田百閒は感染し、看護婦を雇ったため借金苦に陥り、やがて家を追い出され困窮する。志賀直哉は家の女中が感染し「流行感冒」という短編を残した。芥川龍之介は「胸中の凩咳となりにけり」という俳句を残した。大正時代にも、もちろんそれ以前にも、風邪ひとつで人生が変わってしまったひとが多数いたのです、げにおそろしきや流行性感冒。

小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)

スペイン風邪のときは、第一次世界大戦が集結し、その終戦祝が通常通りに行われお祭り騒ぎが続き、みごとに感染爆発。また当時は、うがい・着替え・マスク・消毒は行ったが、手洗いには注目されていなかった。大正時代の「マスクをしませう」といった啓発ポスターをみて、「スペイン風邪のときもいま変わらないのね」などと感想を持ちましたが、手洗いがあるとないでは大違いではないでしょうか、どうでしょうか!? 手洗いは大事ですよね、この一年間、風邪引いてないですもの・・・それまでどんな生活をしていたのか思い出すことも難しいくらい、風邪を引いてないですもの・・・。

というわけで、バッグには乾きやすいリネンのハンカチを、自宅には自動石鹸泡々機を。健康的に衛生的に乗り切っていきましょうー。あ、ご興味がありましたら、磯田先生の本書もぜひ!

 

 

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