マーラーもシャネルもキヨも5番です


サントリーホールなので着物でゆきました。菊の柄が大きな柿渋染めと辛子色の帯で。コートとか羽織は面倒なのでカシミアのストール一丁で。後半、ホールが暑くなったので、羽織着ていかなくてよかったなぁーと。
全然関係ないけど、Wikipedia の着物の項目にこんなのがあって、
昭和 1945年の終戦後
和服を着た児童。1960年代の石巻にて。地方では普通に見られた光景である。(中略)
しかし、和服が高価であり着付けが煩わしいことなどが原因となってか、安価で実用的な洋服の流行には敵わず、徐々に和服を普段着とする人の割合は少なくなっていった。(ウール着物が流行ったことなどを紹介、ここも中略)呉服業界(呉服業界とは、和服・反物の生産・販売の産業のこと)は不振に追い込まれた。呉服業界が、販売促進の目的で、種々の場面で必要とされる和服の条件というような約束事を作って宣伝した。このため、庶民は「和服は難しい」というイメージをより強く持つようになった。この結果、呉服業界はさらに不振になり、反物など織物生産を担う業界の倒産が相次いだ。

あぁん、嘆かわしい。業界を守ろうとして「うちら本物はハードルが高いんすよ」などとして、ユーザーさんたちからの反感を買い、挙句に衰退に追い込まれるというのは、いかにも時流を見誤っていることであり、電子書籍や音楽などの世界でもこのようなことが起きかねないのじゃろう。ふむ。えらそう。
さて、マーラーの第五番です。マーラーの半生を自身が振り返りつつ、四十歳にして才能ある美しきミューズ・アルマちゃんと結婚するまでを振り返る、かのような交響曲。
第一楽章「んもー俺の子供時代ってマジ地獄!村は寒いし、兄弟は多かったのに半分死んじゃったし。その他黒歴史も少々あって、あぁもう切ない!思い出したくない!」
第二楽章「青年になったけど、引き続き黒歴史なう!もー田舎無理!村を出てやる!」
第三楽章「都会にきたら、あれ、なに全然いいじゃん!超最高!あ、でもたまに俺の黒歴史が顔をもたげてくるーぐぬぬー、あ、でも全般おおむねオッケー☆ 人生は上々だ!」
第四楽章「アルマってすっげー才能ある子に会っちゃった!もうマジ最高! 旧ヒステリックミカ・バンドのみなさんが、木村カエラのバックでニヤニヤしながら演奏したのと同じくらいニヤニヤしちゃう!決めた、俺、アルマと結婚する!アルマに告白する!アルマラブ!アルマー!!!」
第五楽章「えへへ。皆さんご存知かもしれませんが、僕はアルマたんと結婚しました!もうね、やばい、景色ピンク色、なにを見てもピンク色、パステルカラーのマカロンが一斉に世界に飛び出してきたみたいにピンク色! すっげー幸せ! 超幸せ! もうね、こんな幸せなのって! 俺も四十になるってのに、女なんてちぎっては投げちぎっては投げするもんだと思ってたのに、こんな才能のある綺麗でかわいい子と! あぁー幸せ!超幸せーーーーー!聞こえるかー、俺は幸せなんだよー!!!!」
という交響曲でした。楽しかった! 第五楽章の華やかさ、ぴょんぴょん飛び跳ねる指揮者のエリアフ・インバルさんの紅潮した頬、演奏の終わったあとの奏者たちの誇らしい笑顔、よいお時間でした。インバルさんは、マーラーの指揮をさせたら世界で五本の指に入るお方らしいのですが、指揮者で演奏って変わるんだろうなー(私にはまだ全然わからないけれど)、などとも。
都響はティンパニの久一忠之さんがいつも気になって気になって仕方ない。八百屋さんでもIT屋さんでも俳優さんでも何やっても大成しそうな方である。あらやだ、なに、これって恋!?
http://www.tmso.or.jp/j/tmso/orchestra/member.php
情報量が多いのにウェブサイトがよくできてて勉強になりますです。うぅむー。見習いたい。
当日は日中、慌てて上の動画 で予習していったのですが、なんというかそんな便利なことができちゃうありがたくも恐ろしい時代になったものです。

マーラー,インバル(エリアフ),東京都交響楽団
オクタヴィアレコード

¥ 3,000

(2012-10-24)

3 COMMENTS

ふなき

やだ、このマーラー君かわいい・・・。
中二病を患っていた高校三年の夏休み、夏期模試からの帰り道に古本屋でその名も「グスタフ・マーラー」という本を見つけて購入。そこに掲載されていたアルマたん宛のマーラーの熱々ラブレターの数々をニヤニヤしながら読みふけった思い出があります。うん、受験生だったんだけどね!
音楽は指揮者で変わるよ~。指揮者の性格も出てると思う。
今度は是非、ご一緒しましょう!!

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Y田koyuki

スガヤンすごい~。音楽とはそのように楽しむものよ!言葉のない世界から言葉を感じる才能、さすがだわ…!!同時に都響がそのように能弁な演奏であったということですね、ラッキーでしたね。
マーラーはアルマにべたぼれでなかなかすばらしいカポーだったんだと思うんだけど、のちに彼はアルマが作曲するのを封じたりして自由を奪ったんだよな。そんで未亡人になってからのアルマのホンポーさがすごいんだよな。

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スガ

半分以上は都響の小冊子の受け売りですぅ・・が、第五楽章は本当に華やかなピンク色でしたよ! 映画マリー・アントワネットと同じくらいピンク色(ウィーンが舞台なのに!)。
まだ全然わからないんですが、技量も必要な楽曲だと思うのですが、見ている人たちも最後は楽しげな表情になっている人が多く、素晴らしかったですぞよ。
ふなきはん、誘ってくれてありがとう。ご一緒できず残念でしたが、また次回! 1ヶ月に一回くらいこういう時間が味わえると幸せよねー。うふふ。
アルマたんの話もちょっと追ってみるわ!
その前に高村薫の「新リア王」を読み切らないといけないのだが・・

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