今週の本と映画と安政の大獄/吉村昭「桜田門外の変」など

5/6-5/12 

ジロ・デ・イタリアを横目で見て、長椅子で本を読む、そんな季節がやってきました。初めてのヒップホップダンスワークショップ、181回めの句会など、いろいろございました。猫ちゃんは体重2.7kg、今日もふさふさです。

プロ野球の地方巡業が始まりました。なんとなしに秋田「こまちスタジアム」での楽天対オリックス戦を見ながら夕飯を作っていたら、マフラーを巻いた小さな女の子がババヘラアイスを食べている姿が映った。マフラーしてるのに! ババヘラアイスを! 抗いがたい魅力があるんだろうなぁ・・・。

吉村昭「桜田門外の変」

だんドーン(2) (モーニングコミックス)

表紙は小松帯刀。ダンどーんとは「日本警察の父」川路利良の生涯を描く超本格幕末史コメディ。漫画なので作者の創作で補完されている歴史のピースが多々あるのでしょうけれど、有村兄弟のくだりを読んでから俄然興味が湧き、狂信的(に見える)水戸藩も怖いけど薩摩藩はもっと怖い。そしたら別の角度からこの事件を知ってみようと思い、吉村昭の「桜田門外の変」を手に取りました。

桜田門外ノ変(上) (新潮文庫)

上巻が安政の大獄、下巻が桜田門外の変とその後日談というか始末記。門閥派と改革派で内部抗争していた水戸藩、門閥派の谷田部兄弟が捕縛され水戸領内を護送されているのと主人公関鉄之介が目にするところから物語が始まる。物語の起点をどこにおき、誰を主人公にするのか。本作では、桜田門外の変の関係者で最後に捕縛された関鉄之介が主人公にすえている。物語の始まりから終わるまでそこに居合わせた人物だ。

その関鉄之介、ことあるごとにお酒を飲む。地方の雄藩に「幕府政治を改革するべし」と遊説にいくときも行く先々で飲んでいる。蝦夷開拓の仕事を手伝えとまずは越後水原でそこの業者と話をつけてこいというときも、することがないから毎晩飲んで無聊をかこったりしてる。桜田門外の変の前日もごくごく飲んでる。変が終わったあともとりあえず飲んでる。桜田門外の変相成ったあと薩摩藩から三千人の兵を率いて京都にくることになっていたので、関鉄之介ら戦闘に加わらなかった生き残り組は西国を目指す。おかしいなーおかしいなー薩摩藩こないなー、過去に遊説した雄藩のみんなも全然呼応してくれないなーどうしてかなーと各所を回りながら九州まで足を運ぶ。そして薩摩藩とのくにざかいで、「あぁもう薩摩藩はくるわけないんだ」とやっと気がつく。そしてスパッと水戸に戻る。水戸に戻り豪農に匿ってもらう。またお酒飲んじゃう。常に喉が乾くし、下痢と便秘が交互に襲ってくる。胸には不気味な腫れ物ができる。蘭学の先生がお忍びで治療にあたってくれ「糖尿病っすね」と診断を受ける。薬と食事療法でなんとか改善するものも、人がやってくるとまた飲んじゃう。飲んじゃだめーー!飲んじゃだめーー!! そして彼は・・・。

安政の大獄と桜田門外の変に異常に詳しくなってしまいました。まぁあれは、吉村昭氏もあとがきで書いているように「江戸幕末の二・二六事件」なんでしょう。どちらも雪の日の血みどろクーデター事件。そしてそこから7~8年で世の中ががらりと変わる結末までそっくりです。吉村昭はいいぞ。

その他

「大統領でたどるアメリカの歴史」、第13代大統領ミラード・フィルモアが1853年にペリー提督を日本に派遣させたわけですが、そんなことをしなければ井伊直弼も関鉄之介も吉田松陰も死なずに済んだんやでー。ではそれがなかったとしたら、どんな日本になっていたのかはまったくわからないのですが。。

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