90分ほどの良作をアマゾンプライムビデオで視聴したのでみなさまにもご紹介したい。
「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像(原題 Tumma Kristus)」
フィンランド映画、95分。原題の「 Tumma Kristus 」は直訳するとダークキリストとなりますが、それはみてのお楽しみ。あらすじはeiga.comから。
「こころに剣士を」のクラウス・ハロ監督が、作者不明の「運命の絵」に魅せられた老美術商とその家族を描いたフィンランド発のヒューマンドラマ。
年老いた美術商オラヴィは、家族よりも仕事を優先して生きてきた。そんな彼のもとに、音信不通だった娘から電話がかかってくる。その内容は、問題児の孫息子オットーを、職業体験のため数日間預かってほしいというお願いだった。そんな中、オラヴィはオークションハウスで1枚の肖像画に目を奪われる。価値のある作品だと確信するオラヴィだったが、絵には署名がなく、作者不明のまま数日後のオークションに出品されるという。
美術商という商いに心底どっぷりはまってしまったオラヴィ。商いをやっているだけまだマシではありますが、自分の親族がこんなんだったら「れんちゃんパパ」とあまり変わらない迷惑な存在。そんなオラヴィがオークション会場で魅せられた作品が、オラヴィと彼の家族を思わぬ方向に巻き込んでいき・・・。
いい映画でした。オラヴィの友人が「誰が描いたかわからない作品にそんな大金をつぎ込むなんて」と止めるのですが、「まずあの作品はフィンランド人の作品ではない、フィンランド人にはあの精密さは無理だ」というあたりとかちょっとくすっとしちゃいます。フィンランドもなにかと世知辛く(金持ちがセコくなったり、鷹揚に振る舞わなくなっていたり)、昔ながらの商売が成立しなくなっているのも伝わってくるようなほろ苦さがありましたが、とてもよい映画でした。
「家へ帰ろう(原題 El último traje)
あらすじはWikipediaから。
アルゼンチン・ブエノスアイレスに住む仕立て屋のアブラハムは足を悪くし、娘達に老人ホームに入れられることになる。しかし、アブラハムはそれを嫌い、最後のスーツを70年以上会っていないポーランドの親友に渡す旅に出る。
93分、スペイン・アルゼンチン映画。こちらも前情報少なめでぜひ。「まったくラテンのスケベオヤジが」とおじいちゃんロードムービーに見入っていくのですが、ただのラテンのスケベオヤジではないことがだんだん解き明かされていくのです。アルゼンチンから飛行機でマドリードまで、マドリードからポーランドのワルシャワまでは陸路をノンストップで1日と6時間の鉄道の旅。アブラハムは無事にたどり着けるのか!?
そうか、アルゼンチンのひとは、欧州に入るときはスペインをまず拠点にするのか。同じスペイン語だし、最初の渡航地としては安心よね。直行便で11時間半とのこと、そうかー、東京-欧州間とあまり変わらない距離なのか。もっと近いかと思ってたよ! こういうのは実際に調べてみないとわからないわね。
さて、原題の「El último traje」は「最後のスーツ」。こちらも素晴らしい映画でした。
どちらも「家族に向かってなんてことをいうの」と、自分の娘にマジでドン引きされてるあたり、世のお父さんというものはかくも鈍くダメ人間なのかと苦笑いさせられるものでしたけれども。
2作品ともウカやん90分良作ライブラリに入りましたわ、ストン。90分良作ライブラリには、ジョン・カーニー作品などが入っておりますです。えへん。