春星やわたしの目線はアキコさん/映画「BLUE GIANT」

BLUE GIANT(10) (ビッグコミックス)

「風が強く吹いている」でいえば、カケルとハイジとキングの映画です。原作の主人公はカケルなのですが、本作の主人公はハイジです。

仙台で生まれ育った宮本大、中学生の頃に出会ったジャズに魅せられた彼は、高校生の間、毎日川原でテナーサックスを独学で練習します。高校を卒業した彼は世界一のジャズプレイヤーになることを夢見、上京するのでありました。
映画は、その上京する仙台駅のバスターミナルから始まります。あぁーーあの妹の泣き虫の彩花ちゃんが泣いてる、おにいちゃんが絶対戻ってこないってわかってて泣いてる・・・・。

さて、本作品は、山岳救助ボランティア漫画「岳」の石塚真一さんの漫画が原作。ビッグコミック連載時から掲載誌で読んでいて、単行本は仙台編・東京編のBLUE GIANT 無印版全10巻を、欧州版全11巻も持ってる、続く米国版は掲載誌で追ってる。無音漫画を描かせたらニャンバーワンの石塚さん、漫画としてはべらぼうに面白く、楽しく読んではいるけど、ジャズという音楽の世界がとても広く見えてしまい、どこから聞いたらよいかわからなくて連載から10年経ったいまもちゃんと聞いたことはない。アニメ映画になったと聞いたときは、音楽をどうやって表現するのかしらと不安で一杯でしたが、SNSを見ていたらかなり評判がいいので、恐る恐る行ってきた。

あぁあーーーーうんうんうん!!

映画が終わったあと、女子トイレで化粧直しをしていたら、同世代のマダム二人組が入っていた。一人の女性が「こんな映画だと思ってなくて」と涙を拭きながら鏡に向かい、「あのコたちが一生懸命すぎて・・・」とまた溢れる涙を人差し指で拭いていた。わかる、わかる、作品に登場するバーのマダムのアキコさん目線になっちゃいますよね、クライマックスで両手で口覆って心配しながら見守りましたよね、わかるぅーーーわかりますぅーー!

演奏者の動きはモーションキャプチャーを使った動画を使っています。ステージに立っているアニメ絵の人物の姿が、突然実写っぽい肉付きになり少々ぎょっとします、でもこれ、SLAM DUNKで見たアレですね。ちょっと違和感がありますが「これからのアニメ表現はこれでいきますから!」という開き直った宣言にもみえました。音楽は上原ひろみさん監修で、「あっ、こういうことだったのか!」とやっと耳で実感できました。主要なキャラクターの声はみんな俳優さんがあてていたのですが、満足する内容でした、でも主人公を小林親弘さんがやれば最高だったのにと正直思ってます。

仙台編・東京編は全10巻で、主人公は4巻の途中で上京します。仙台編がですね、もうね、とてもね、うん、バーナムの話とかね、バイト先の話とか、おにいちゃんの36回ローンとかね、もうね・・・。この機会にみなさん読むとよいです。昨夜早速仙台編を読み返し、映画と漫画の違いにあれこれ気が付きましたが、2時間の映画にまとめるように綺麗に脚本がまとめられているのに逆に感服しました。これは5年後くらいに欧州編が映画化されることでしょう、楽しみです。

みなさまもぜひー。できればDolby Atmosで!!

『BLUE GIANT』1~4集 SPECIALプライスパック (ビッグコミックス)

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